誹謗中傷と批判の意味の違いとはなに?犯罪になるの?

 5月にSNS上での誹謗中傷を苦に自殺をしてしまった有名人がおり、インターネット上では様々な意見が飛び交っています。


 そこで多く目にする言葉が

「誹謗中傷反対と言っている人達が、政治家に汚い言葉を投げかけているのは矛盾している」

「誹謗中傷と批判を一緒にしないで!意味を理解して」

のようなやり取りです。


 この大きな論争を目にして貴方は誹謗中傷と批判の違いについて調べ、考えてみましたか?

 恐らくそこまではしていない人の方が多いと思います。


 そこで

「この騒動に興味はあるけど、言葉の意味までは調べて来なかった」

という貴方向けの記事となっています。


 今回は

◎、誹謗中傷の意味とは?

◎、批判の意味とは?

◎、誹謗中傷は犯罪になり得る

◎、批判の方が重い犯罪になり得る

◎、誹謗中傷と批判についての個人的な意見

 この5点についてお話をして行きます。


 元警察本部刑事部の警察官、現福祉職員の私が、双方の知見を活かして、誹謗中傷・批判問題を解説します。


 言葉の意味ではなく、自分自身が攻撃された時にどうすれば良いのか?についてはこちらの記事をお読み下さい。

>>>インターネット上での誹謗中傷を根本から対策する方法と考え方。


 この記事を読む事で、誹謗中傷と批判の意味を理解することができます。

 誹謗中傷も批判も犯罪になり得るという事を理解することもできます。


 それではそれぞれについて詳しく見ていきましょう!





誹謗中傷の意味とは?

 結論:『根拠のない悪口を言って、名誉を傷付けること』


 誹謗中傷とは、誹謗と、中傷という言葉を組み合わせた言葉になります。

 まずはこれらについて辞書的な意味を見ていきましょう!

『誹謗』・・・悪口を言う事

『中傷』・・・根拠のない事を言って、名誉を傷付けること


 つまり、これらを合わせると

『誹謗中傷』・・・根拠のない悪口を言って、名誉を傷付ける事


 根拠がない悪口なので、

「バカ」

「アホ」

「お前なんかに生きている価値はない」

「ウザい」

「気持ち悪い」

のような言葉ですね。


 このような言葉を他者に言う事は誹謗中傷になります。




批判の意味とは?

 結論:『物事の良い点、悪い点をハッキリさせて評価すること』『欠点を指摘すること』


 批判には幾つかの意味がありますので、誹謗中傷との違いという点で関係する意味だけ抜粋します。


意味① 物事の良い点、悪い点をハッキリさせて評価する事


意味② 他者に対して誤りや欠点を指摘して、正すように諭す事


 恐らく多くの人は意味②、他者の欠点を指摘する方の意味で

『批判』

という言葉を使っています。


 そのため誹謗中傷との明確な違いが分からなくなっているのかと思います。


 誹謗中傷の言葉例のように、批判の意味②の例を出すなら

「この用語を覚えていないのは、貴方の努力不足が原因だ」(バカ)

「この言葉の意味を理解できないのは、理解力が低いのではないか?」(アホ)

「多くの人を殺傷した貴方には死刑が適切だ」(生きている価値がない)

「わざと人を不快にさせるような言動を取る貴方には別の場所に行って欲しい」(ウザい)

「貴方の言動を見ていると吐き気を催す。」(気持ち悪い)

といった感じでしょうかね。


 このような言葉を他者に言うと批判の意味②になります。


 なお、意味①は良い面も含めた言葉なので、同じ

『批判』

という言葉でも全く意味合いが違います。




誹謗中傷は犯罪になり得る

 結論:『侮辱罪。又は損害賠償10万円前後』


 誹謗中傷と批判の意味がわかったところで、次に

『これらの行為が犯罪になるのか?』

という点を見ていきます。


 誹謗中傷は根拠のない悪口で他者を傷付ける行為です。

 これは刑法の

『侮辱罪』

に当たると考えられます。


 刑法に載っている犯罪の中では最も軽い犯罪と言われています。

 その刑罰は

『拘留又は科料』

です。


 これだけでは分かり難いでしょうから、もう少し具体的に、分かりやすい表現にします。

『30日未満の拘束、又は1万円以下の罰金』


 これが犯罪行為として罰する場合の誹謗中傷になります。


 次に、犯罪としてだけではなく、民事訴訟

 つまり、誹謗中傷によって受けた損害を賠償してもらう裁判についても簡単に見ていきます。

※ 刑事裁判と民事裁判の違いは別記事にて作成予定。


 こちらは、損害を賠償してもうらう裁判なので、損害の度合いによって金額は違ってきます。


 しかし、ただ単に

「侮辱によって大きく傷ついた」

ということであれば、概ね10万円前後になることが多いようです。


 もっとも、裁判に掛かる費用や労力を考えると、大損ですので、侮辱行為だけで民事裁判を行う人はそうそういないのかと思います。




批判の方が重い犯罪になり得る

 結論:『名誉棄損罪。又は損害賠償30万円~400万円くらい』


「誹謗中傷と批判を同じにしないで!」

との言葉を聞くと

「誹謗中傷よりも、批判の方が正当な行為で問題ないのかな?」

と感じますよね。


 しかし、実は犯罪として見た場合には批判の方が重罪です。


 もちろん、ここで言う

『批判』

とは、意味②。


 つまり他者に対して

『根拠のある』

欠点を指摘する方の意味の批判の場合です。


 これは刑法に載っている犯罪に当てはめると

『名誉棄損罪』

になり得ます。


 その刑罰は

『3年以下の懲役、又は50万円以下の罰金』

です。


 これが犯罪としての批判の罪になります。


 なお、法律用語は日常で使っている言葉を違った意味で使います。

 そのため、とても分かり難いので細かい要件等の部分の説明は省略しています。


 次に批判も犯罪としてだけではなく、民事訴訟

 損害を賠償して貰うための裁判についても少し見ていきます。


 こちらは根拠のある言動で、社会的地位を傷付ける行為なので、損害の差が事案ごとに大きく違います。


 ただ調べてみると、安くても30万円前後。

 400万円くらいの支払い命令が下りた事案もありました。


 根拠のない誹謗中傷は精神的に傷つくだけなのに対して、批判は根拠がある欠点の指摘なので社会的地位も傷つきます。


 その社会的に傷ついた名誉を回復させるための費用も含まれているので、侮辱よりも高額になるんですね。


 こちらは侮辱よりも訴訟を起こすメリットが高いので、民事訴訟で争われることが多いようです。




誹謗中傷と批判についての個人的な意見

 結論:『誹謗中傷も批判も、どちらも同じ』


 最後に私個人の見解を少しだけ述べさせていただきます。

 貴方が賛同するか、賛同しないかはご自由にどうぞ。


 私は福祉的観点で物事を見ます。


 そのため、最も重要なことは

『その言葉を言われた本人が辛いと感じるか?辛いと感じないか?』

これだけです。


 その言動の内容に根拠があろうと、根拠がなかろうと、関係ありません。

 言われる本人が私人だろうと、公人だろうと、関係ありません。

 その言動が一般的に酷かろうと、酷くなかろうと、関係ありません。


 重要なことは、その言葉を言われた本人にとって辛いのか、辛くないのかだけです。


 そのため、

「誹謗中傷と批判を一緒にしないで!」

 こんなやり取り自体が馬鹿げているとしか思えません。


 相手に欠点を直して貰いたいなら、相手が傷つかないような言動で指摘すれば良いだけです。

 相手に暴言を浴びせたいくらい怒りの感情が湧いたら、関わらないようにすれば良いだけです。


 今の日本社会で福祉的視点から見れば誹謗中傷も、批判も、どちらも

『相手を傷付ける言動』

この点で同じで、忌むべき行為です。


 相手が政治家で批判したいなら、政治家が傷つかないように指摘すれば良いだけです。

『批判=強い語気。汚い言葉』

なんて決まりはありません。


 何度も言います。

 福祉的視点では、誰が、誰に、何を言うか、なんてどうでも良い事です。


『言われた本人が傷つくのかどうか?』

これが全てです。




まとめ

 少しでも誹謗中傷と批判について考える機会になったのであれば幸いです。


 それでは

誹謗中傷と批判の意味の違いとはなに?犯罪になるの?』

についてまとめて終わりにします。


 誹謗中傷の意味とは

 根拠のない悪口を言って、名誉を傷付けること


 批判の意味とは

 物事の良い点、悪い点をハッキリさせて評価すること


 誹謗中傷を犯罪として取り扱うと

 侮辱罪。又は損害賠償10万円前後


 批判を犯罪として取り扱うと

 名誉棄損罪。又は損害賠償30万円~400万円くらい


 誹謗中傷と批判についての個人的な意見

 『相手が傷つくのかどうか?』

 この観点から、誹謗中傷も批判も同じで忌むべき行為。



 いかがでしたか?

 それぞれの似た言葉の意味を捉え、その上で、貴方自身はどのように考えるのか?

 そして、その考えに基づいて、どのように自分自身の行動を見直すのか?


 ここまで行動して初めて意味をなします。

 行動をせず言葉だけを発していては誹謗中傷・批判をしている連中と大差ありません。


 行動までして初めて”何か”が生まれます。

 行動しなければ何も生まれません。


 貴方は行動できる人ですか?



「ところで、この記事を書いている貴方はどなた?」

と疑問に思った貴方は私の自己紹介もご覧ください。

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