安易に介護を擁護するな!『介護施設でゼリーを喉に詰まらせ窒息死の事件』私の考察をわかりやすく紹介

 広島県広島市佐伯区にある介護施設でおやつのゼリーを喉に詰まらせてご利用者が窒息死し、

「施設に責任がある」

として2356万円の賠償命令が出た裁判。

 >>>ヤフーニュース『ゼリー喉に詰まらせ窒息死 判決で被告の介護施設側に2365万円支払い命令 広島地裁』

 SNS上では介護関係者から

「裁判所ふざけんな!これでまた介護職の成り手がいなくなるよ。」

「ゼリーも食べちゃダメとか、もはや介護施設に入所すると尊厳が失われるね。」

のような声が噴出し、炎上状態になっています。

 しかし、私はこの事件について色々と疑問があったので調べてみました。

 その結果

「いや、これ、安易に介護施設側を擁護しちゃダメっぽいよ。」

との考えに至りました。

 そこで今回は

『介護施設でゼリーを喉に詰まらせ窒息死の事件に対する私の考え』

についてわかりやすく紹介していきます。

 この記事を読むことで

◎、安易な感情論で物事を見る危険性を知ることができます

◎、介護現場を守るための行動を取れるようになります

◎、害悪なお局職員を自分達が引き止めていることに気付きます

 それでは、この事件について一緒に見ていきましょう!

※この事件は判決文が公開されていないので、ネット上でわかる範囲の情報を元にした考えですので、あらかじめご了承ください。

ゼリー窒息死事件の概要

<事件の内容>

◎、日時:2021年7月、時間不明

◎、場所:広島市佐伯区の介護施設内

◎、亡くなったご利用者:90歳代男性、恐らく食事介助が必要なご利用者

◎、死因:ゼリーを喉に詰まらせた窒息死

◎、事件の内容

 施設が提供したゼリーを90歳代の男性が喉に詰まらせたため、救命措置を施すも窒息死したもの。

 当時ゼリーを配布していた職員は、当ご利用者に配布後は他のご利用者に配布していて見ていなかった。

 施設側は

「ゼリーで窒息することは予測できなかった。その上で迅速に救命措置はしたけど助けられなかったわけで、これは不可抗力に近い事故である。」

との主張。

 裁判所は

「迅速に救命措置をしたことは素晴らしい。でも、施設は誤嚥を予防する措置を怠っており、その責任は重い。2360万円の賠償金を支払うように。」

としました。

 ネットニュースからわかるのはこんな感じです。

 確かにこれだけの情報では

「そんなの防げるわけないやんけ!一人で何人のご利用者を見ていると思ってるんだ!裁判官は一度本当の介護現場を経験してみろや!!!」

と言いたくなる気持ちもわかります。

 でも、一度冷静になってみて下さい。

<普段の自分達の目線を思い出す>

 普段貴方は介護施設や他職員に対してどんな感情を持っていますか?

「ふざけんなよ!こんなのブラックじゃんか!パワハラじゃんかよ!」

「あのお局、居ない方がマシなんですけど。」

のような負の感情じゃありませんか?

 つまり、介護施設にも問題がある可能性は認識しているハズなんですよね。

 その上で、じゃあ、この介護施設に普段から問題があった可能性をなぜ考えないのでしょうか?

 恐らく裁判となると、自分に置き換えて想像しちゃうからなんですよね。

 そうすると、普段からキチンとしている貴方にとっては

「その判決、おかしくないですか?」

と感じるのも当然です。

 何度も言いますが、貴方がシッカリしている介護職員でも、事件の介護施設や介護職員が貴方のようにシッカリとした人とは限りません。

 そのため私は

「この介護施設って、本当に妄信的に擁護されるべき素晴らしい介護施設だったの?ブラックに近いことしてたんじゃないの?」

と考えてしまいます。

 ということで、そんな目線の私が、ネットニュースだけではわからなかった部分も少し調べてみましたので、参考にして下さい。

 なお、それらの情報も正しいかわかりませんので、悪しからず。

 あくまでも調べた結果ですからね。

この事件に対する疑問と調べた結果

 調べる上で主に参考にしたのは厚生労働省の介護事業所・生活関連情報検索サービスです。

◎、介護施設の形態は?

 恐らく従来型特養です。

◎、施設運営はしっかりしている?

 ・施設運営面では全体的に平均以下

 ・退職者数が多い

 ・職員教育は弱い、あまりやっていない

 ・苦情受付窓口はなし

 ・外部との接触機会も少ない

◎、職員人数、配置割合は?

 ・職員人数は充実している(満床54名に対して介護職員25名)

 ・介護職の大半が常勤

 ・夜勤は3人体制

◎、職員のタイプ・属性は?

 ・経験が浅い人が多い(1年未満と1~3年が主)

 ・初任者研修も持っていない無資格者が半数以上(13名が無資格)

◎、事件化はされていない?

 本来このような事故は、職員の行動に問題があると刑事事件・犯罪である業務上過失致死罪などに問われ得ます。

 しかし、今回は民事裁判だけで犯罪として扱われていないようなんですよね。

「だから何ですか?家族が事件として訴えないで、お金だけ欲しいってことですか?ふざけんなよ!」

と感じるかもしれませんが、そうではありません。

 事件として扱っていないということは、

『職員の行動に問題があった可能性が低い』

ということです。

 そもそも、業務上過失致死罪は非親告罪(被害者が訴えなくても警察が自動的に動く犯罪)です。

 でも事件にはなっていないっぽいんですよ。

 つまりこの出来事は職員の行動に問題があるとされているのではなく、施設に問題があるという趣旨で見られている可能性があるんですね。

 見守り不足で発生したとか、現場の職員の対応が不適切だった等ではなく、他の要素である、職員配置とか、ゼリーの形態とか、情報共有面とか、施設運営の面とかが問題視されている可能性があるというわけです。

 何度も言いますが、現時点(2023年11月)ネットだけでわかる範囲の情報を元にしたことなので、今後変わるかもしれませんし、そもそもネットに掲載されている情報も正しいとは限りませんので、悪しからず。

調べても判明しなかったこと

◎ゼリーで窒息って、どんなゼリー?

 一言でゼリーと言っても、色々あります。

 恐らく貴方がイメージしているのは嚥下食としても使われるゼラチンで固めた、いわゆる普通のゼリーですよね?

 でも、彩果の宝石のようなガチガチなモノもゼリーと呼びます。

 この辺り

「どんなゼリーを提供したのか?」

が分からないと、安易に

「ゼリーで窒息したら罪に問われるとか、嚥下食・ミキサー食でもダメってことだから、もう胃ろうしかないじゃないか!?」

とも言えないんですよね。

 もっとも、普通のゼリーでも丸呑みすれば詰まりますけどね。

◎、ご利用者の嚥下能力・状態は?

 この90歳男性の嚥下能力や当時の体調等も気になります。

 高齢ですし、食事介助も必要な方だったようなので、そこまで嚥下能力は高くなかったのでは?と推測はできますが、ネット記事だけではわかりません。

 食事介助が必要なケースとして、自力で召し上がれないだけで嚥下能力は高いご利用者もいますからね。

 更に、普段は嚥下能力が高くても、体調が悪かったり、眠気が強かったりすれば危ないですよね。

 他にも、ずっとここ最近むせ込みや誤嚥をしまくっていたのに、何も対策を講じないで放置し続けていた場合も色々と見え方が変わって来ますよね?

 この辺りはとても重要な要素ですが、ネット記事やその他を調べてもわからなかったので、何とも言えないですね。

◎、当時の職員配置は?

 従来特養で、職員が充足している施設のようですが、当時フロアに居た職員さんは何人だったのか?

 これも必要な情報ですよね。

 入浴とか、排泄とかで職員が取られており、フロアに一人だった可能性もあります。

 逆に、何人もいたのに何もしないでフラフラしているだけの職員がいて発生したとなると、見え方がまた違ってきますし、当時フロアに何人の職員がいたのかは知りたい情報ですよね。

 もしここに責任追及をしているのだとしたら、朗報なんですけどねぇ。

 だってこの裁判では、施設の責任”としているというわけですから、仕事しないでフラフラしている介護職員を雇い続けている施設が悪いということですよ!

 施設が早く害悪な職員をクビにして、新しい戦力を雇わないと裁判的に責任を負わされるということになりますので、施設は動かざるを得なくなり、現場の雰囲気が正常化されるわけで、朗報じゃないですか!

 他にも、当時居た介護職員の経験も知りたいですよね。

 全員無資格・1年未満だったとかだと、流石に

「いや、一人はリーダー級、または指揮が取れる職員を1名は配置しないとダメでしょうよ!」

と感じますよね。

 この辺りもわからないので、何とも言えません。

◎直近のカンファレンス・モニタリングの内容は?

 半年に一度カンファレンス(モニタリング)は行っているハズです。

 そこで食事に関する内容はどう話し合われていたのか?

 これも重要な要素ですよね。

 そもそも嚥下に問題があると認識されていたのか?それとも

「この方は高齢なのに食事だけは凄いですよねぇ。」

と認識されるタイプだったのか?

 それらによっても誤嚥リスクの予測に大きく影響が出ますよね。

 事前把握状況として知りたいですが、これもわかりませんでした。

◎、そのご利用者に関する共有状況は?

 もし誤嚥リスクがあるとカンファレンス等で話し合われていても、それを他の職員にどのように共有していたのか?

 これもわからないと何とも言えません。

 少なくとも

『申し送り帳に記載していた』

くらいはしていないと、そりゃあ施設の過失になりますよね。

「カンファレンスして、ファイルに閉じてあるので各自確認して下さい。」

だったら問題ありですよね。

「ファイルに閉じたから、後で読んで」

なんて形を共有とは言いませんからね。

 少なくとも実態ベースでは。

 だって現場にいる貴方も、申し送り帳に書かれていないと個別ファイルなんて普段読まないでしょ?

 そのような実態を把握していても、そうしていたなら、それは施設が悪いですよね。

 この辺りもわからないので何とも言えません。

 今回この事件に関して私が調べた内容などは以上になります。

 最後に、これらを受けて私が持った受け止め方を紹介して終わりにしたいと思います。

最終的に私の出した考え

<施設に問題があるのでは?>

 この事件に対して私は

『この施設は普段から問題があるのでは?』

です。

 裁判所のことを

「介護現場のことをわかってない!ふざけんな」

とは一切思いません。

 裁判所は見守り不足がどうとかは一切言っていません。

「誤嚥を防ぐ措置を講じていないことが問題だ」

と言っているんですよね。

 わからない部分が多すぎて、何とも言えませんが私の目線だと施設側を疑ってしまいます。

 だって、ゴミクズな介護施設って腐るほどあるのを知っていますので。

 それなのに、問答無用で妄信的に介護施設側を擁護しようとは流石に思えませんよ。

<これと似た事件>

 実は以前も、これに似た事件が長野県でありました。

 通称あずみの里訴訟と呼ばれるモノです。

 それも、今回と同じように記事のタイトル部分や、ネットニュースだけではわからない部分を見ないまま

「裁判所ふざけんな!」

と炎上していました。

 しかし、調べると出るは、出るは。

 施設側の事故を起こした准看護師に、普段から問題がありそうな状況が。

 その事件は個人の行動等に問題があり、ご利用者が死亡しているので、今回の広島市の出来事とは違い、事件・犯罪として扱われています。

 今でもあずみの里訴訟で准看護師が清廉潔白で聖女のような人間と妄信して、問答無用で裁判所を批判している介護関係者がいますが、今回もそれと同じような状況が見え隠れしていますね。

(裁判所を問答無用で批判するのは、施設や職員を清廉潔白で非の打ちどころのない素晴らしいところ・人と言っているのと同じですからね。)

 問答無用で裁判所批判をしてしまったそこの貴方!

 介護現場や施設は完璧で素晴らしいと思っていないのなら、一度冷静に深呼吸することをオススメします。

 そうしないと

「あのお局、マジで邪魔なんですけど。早く辞めてくれないかなぁ。あの人ひとりののせいで一体何人の優秀な職員が辞めていったと思っているんだよ。そしてそれを知りながらなんで家の施設はお局を擁護して雇い続けてんだよ。」

という状況は中々変わっていきませんからね。

 もし裁判で施設が中々切り捨てられない害悪なお局職員を切り捨ててくれたら、むしろ

「よくやった裁判所~!!!」

じゃないですか?

 でも感情だけで問答無用に裁判所を批判しているのは、その可能性を貴方自身の手で全て捨てているんですよ。

 そのことに気付くと、少しは冷静になれるかもしれませんね。

最後に

 このような情報をブログよりも早くリアルタイムで発信しているので、エックス(旧ツイッター)のフォローもお願いします。

 >>>ふたひい@ありがとうプロジェクト、ファウンダー

 ブログの方にもまた来てくださいね。

ちい&ふたに

「これで缶コーヒーでも飲んでよ!」

と応援してくれる貴方はこちらからお願いします。
ちい&ひいにOFUSEする