『”正しい介護”ではない!介護学校・介護福祉士テキストの位置づけ』をわかりやすく説明します
「介護学校で教わる介護や、介護福祉士テキストに書かれている介護は”正しい介護”ではない!」
このように言われると
「いやいや、正しい介護でしょ!むしろ現場で勝手に変な介助をしている人は教科書を目指すべきでしょ!」
「教科書に書かれている内容は正直、”現場でそんなことやってらんねぇよ!”とは思いますが、理想的な形でしょ?」
のように、正しい介護だと思っている人が多くいます。
しかし、介護学校で教わったり、介護福祉士のテキストに書かれている介護を”正しい介護”と位置付けてしまうと、そこに書かれていることを否定することになり、大きな矛盾を生じてしまうんですね。
そこで今回は
『介護学校で教わる介護や、介護福祉士テキストに書かれている介護は”正しい介護”ではない』
と題して、
「ではどんな位置づけのモノなのか?」
について、わかりやすく説明していきます。
この記事を読むことで
◎、介護学校で教わる介護の位置づけを知ることで、最大限に活かすことが出来るようになります
◎、無数に存在している介護技術をどのように捉えれば良いのか理解できます
◎、自分が何をやり、何を習得すれば良いのか道筋が明確になります
それでは、介護学校で教わる介護、介護福祉士テキストに書かれている介護の位置づけについて、一緒に見て行きましょう!
①介護学校等で教わる介護が”正しい介護”ではない理由
まず初めに、介護学校等で教わる介護が”正しい介護”ではない理由ですが、それは
『”正しい介護”という唯一の存在を決めた時点で、個別ケアを全否定することになるから』
です。
教科書やテキストにこのように書かれていませんか?
「今の時代はご利用者一人一人に合った、個別のケアが必要ですよ!」
と。
一つの同じ事に対して、ある人は
「素晴らしい!」
と感じる一方で、他の人にとっては
「不快だ!」
と感じることはあり得ます。
これに対応するためには、一人一人のその感覚や価値観を把握した上で、それに合った様々な介護をしないといけないという事ですよね。
これメチャクチャ大変ですけど、それができればまさに理想的な介護と言えそうですよね。
この個別ケアを理想的な介護と仮定した場合に、”正しい介護”というモノを設定してしまうとどうなるでしょうか?
介護スキルは、決まった一つの方法を”正しい介護”と呼ぶことになります。
すると
「同じ事柄でも、人によって受け止め方は全然違うよ!だから個別ケアが重要なんだよ!」
としているのにも関わらず、
「これだけが唯一正しいモノなんだ!介護職員はここに書かれている介護を目指せ!」
と他の可能性を排除してしまい、多様性を受け入れない事になります。
これって、矛盾していますよね。
一人一人の違う感性・価値観に合わせるためには、ご利用者ごとに
「素晴らしい!」
と感じる介助方法があるわけで、それを一人一人に対して模索すべきです。
しかし一つの介護方法しか認めないようにしまうと、この個別ケアを否定していることになりますよね。
だから、介護学校で教わる介護や介護福祉士テキストに書かれている介護は、目指すべき”正しい介護”ではないんですね。
では
「一体それらに書かれている介護とは何なのか?」
「どのように位置付けて理解すれば良いのか?」
この辺りについて触れて行きましょう!
②介護学校等で教わる介護は”基本の介護”
では介護学校等で教わる介護は何なのか?
それは既に項目にも書いている通り
『”基本の介護”』
です。
つまり
「未経験者や初心者さんは、まずはこのような介護スキルの習得を目指してみて下さい。」
ということです。
ここに書かれている内容が理想・目指すべき正しい形ではなく、
◎、未経験者等が一旦目指すべき形
◎、応用し過ぎて悪い介護になっていないか?を自分で見直すときに活用する一つの形
という事です。
基本の形なので、ここに書かれているような介護スキルは
『可もなく不可もない介護』
という事でもあります。
「貴方の介助は素晴らしいです!」
とご利用者に思ってもらえることは少ないけれど、
「貴方の介助はダメダメ!」
と拒否されることも少ない。
そんな介護です。
だから教科書等に書かれている介護の目線は
『ご利用者の心に響くような、快適で素晴らしい介護』
ではなく
『ご利用者に出来るだけ不快な思いをさせないようにする、気を遣った介護』
という目線で構築されているわけですね。
その目線であれば初心者さんが介助しても、ご利用者に対してマイナス感情を作り難いからですね。
でも、それでは介護とは呼べません。
これについては、更に基本に立ち返って、介護とは何だったかを思い出してください。
それを思い出すと、出来るだけ不快な感情を持たれないようにすることではまだまだ介護とは呼べないんでしたよね。
わからない人は今すぐこちらの記事を読んでください。
>>>『福祉業としての介護とはなにか?』をわかりやすく簡単に説明します。
だからこそ、介護未経験者等が習う場での教科書等では、初心者がとりあえず習得を目指すべき、”基本の介護”という位置付けなわけです。
介護学校や介護福祉士テキストは初心者向けのモノなので、そこに書かれていることを”正しい介護”、”理想の介護”と位置付ける低レベルな事をしていてはダメですよ。
という事で、これらの位置づけがわかったところで、既に習得している人も多くいると思います。
では、既にこれらの基本を習得している介護職員はそこから何をどうすれば良いのでしょうか?
その辺りについても、私の見解ですが更に詳しく見て行きましょう!
③現場の介護職員はどうしたら良いのか?
基本の介護を習得済の介護職員さんは
『様々な介助方法を習得すべき』
です。
例えば、移乗介助(トランス)
貴方は何種類くらいのやり方を、ご利用者に合わせて使い分けていますか?
私は現役時代は大きく分けて5種類くらいのやり方を、ご利用者に合わせて微調整しながら使い分けていました。
そのため、微調整の部分も入れれば数十~数百種類くらいになっていたと思います。
トランス介助という一つの場面だけでも、このくらい複数のやり方・スキルを習得して使い分けて、ご利用者一人一人に合った介助をしていました。
この方針でスキル習得をしていて、個別ケアが行えた実例を一つご紹介します。
介護の教科書に書かれている、不快感を与えないトランス介助に対して
「やめて~!!!!!!!!!!!」
と大絶叫しながら職員を突き飛ばすくらい強い拒否を示すご利用者がいました。
しかし、一つの介助方法しか習得していなければ、このご利用者を安全にトランスすることは不可能ですよね。
そこで、ご利用者の要望をしっかりと聞いた結果
「あのやり方は怖いのよ。不快感がどうとかどうでも良いから、とにかく安全で、安心感を持つような方法はないのかしら?」
と言われました。
その要望に対応する介助方法として、ガッツリとズボンを持ち、ヒザをご利用者の股の間に入れて支えるトランスを行いました。
その結果
「貴方凄い!!!このやり方なら全然怖くないし、安定しているから怖がりの私でも大丈夫!素晴らしいわ!」
と拒否なく、受け入れられました。
この方法は介護学校や教科書では
「絶対にやっちゃダメ!」
と教わる介助方法ですよね。
しかし、実際の現場ではご利用者に笑顔と安心を与え得る方法なんですね。
果たしてこのやり方は、それでも絶対にやってはいけない、ダメな介助方法として排除すべきモノなのでしょうか?
もしそうならば、ご利用者を笑顔に出来得るものを排除する、個別ケアの考え方って一体何なんでしょうか?
現場にいない頭が良い人達が、ただの綺麗事を言うための文言になっちゃうかもしれませんね。
それはともかく、個別ケアをするために身に着けるべき介護とは、そのような形でのスキルですよね。
もちろんこれは私が考える個別ケアの方向性の一つですので、必ずしも貴方がこれに賛同する必要性はありません。
しかし、
「確かに!一つの介護にこだわるだけではなく、複数のやり方を使い分けられた方が個別ケアできますね!」
と感じるのなら、やりましょうよ!
凡人の私にでも出来たんですから、貴方にだってできます。
もちろんすぐには無理ですが、今回のような意識をしっかりと持てた今の貴方なら、絶対に実現可能です。
「どんな介助方法があるのかなぁ?」
という目線で色々な人の介助方法を学び、自分のスキルとして使えるように習得していってみて下さい。
まとめ
今回は買いが学校の教科書等に書かれている介護について
①、介護学校等で教わる介護が”正しい介護”ではない理由
②、介護学校等で教わる介護は”基本の介護”
③、現場の介護職員はどうしたら良いのか?
という流れで見てきました。
これで介護学校等で教わる介護の位置づけを知り、それを最大限に活かすことが出来そうですよね。
教科書に書かれていない、現場の職員さん達がやっている介護技術をどのように捉えれば良いのか理解で来たと思います。
そこから自分が何をやり、何を習得すれば良いのか道筋が明確になりましたよね。
それがわかったのなら、後は実践あるのみです。
「ところで、この記事を書いている貴方はどなた?」
と疑問に思った貴方は私の自己紹介もご覧ください。
私は介護に関してこのように
◎、曖昧なまま使われている部分
◎、時代の変化についていけるような情報
◎、介護に対するやる気の向上
等に関する情報を出していきますので、是非また来てくださいね。
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