「ICF(国際生活機能分類)とは何か?」を他にはないレベルで簡単に説明します。

介護業界は難しい言葉を使いすぎる

 ICF(国際生活機能分類)の説明をする前に一つどうしても言わせて頂きたいことがあります。


 それが

『介護業界は難しい言葉を使いすぎる』

と言う事です。


 正直、介護職員さんの多くは勉強に苦手意識を持っている人が多いと感じます。

 勉強が苦手と思っている人が多い業界で難しい言葉を使っていたらどうなるでしょうか?


 当然覚えませんし、把握しません。

 それでは何の意味もありませんよね?


 ICF(国際生活機能分類)はテキストには必ず載っているくらい基本的な事として位置付けられていますが、私のこの記事を貴方が見に来ていると言う事は、

「よくわからない」

と言う人が多いと言う事です。


 そうなって当たり前です。

 だってICF(国際生活機能分類)に限らず、介護業界は難しい言葉を使いたがりな業界だからです。


 言語は人の思いを他者に伝えるためのツールです。

 思いを伝えたい欲求があるのは人間だけですからね。


 思いを伝えるためのツールで、伝わり難い用語を使う意味が分かりません。

 そこで言語の原点に立ち返り、ICF(国際生活機能分類)を他にはないレベルで物凄く簡単に説明しようと思います。


 実際に全く理解していない介護実習生に説明している内容ですので、もし貴方の施設に介護実習生が来ることがあるなら、是非ご活用ください。


 なお最初に結論を言っておきます。

 私が説明するとICF(国際生活機能分類)とは、

「その人の良い面、出来る事に注目して残存機能を活かす考え方」

となります。


 それを頭の片隅に入れつつ読み進めて下さい。




昔の考え方ICIDH(国際障害分類)とは?

 ICF(国際生活機能分類)の前の考え方をICIDH(国際障害分類)と呼びました。

 これはどのような目線、考え方だったのでしょうか?


 まずはそれを見ていきましょう!

 結論から言うと、

『ご利用者の出来ない部分に注目する目線』

でした。


「○○さんは、右麻痺だから、これが出来ない」

「○○さんは、下半身麻痺だから歩けない」

のような目線ですね。


 これが何か不具合を生じるような悪い目線とは思いません。

 言い換えれば、リスクが高い部分を強く認識することでもありますので。


 ただし、人が人として、人らしく生きていく上で

『出来ない部分。障害のある部分』

を最も注目する目線で、果たして可能でしょうか?


 自分が出来ない部分に注目されて指摘される。

 こんな生き方で幸せになれるでしょうか?


 普通は嫌になってしまいます。

「自分には生きている価値がないんだ」

と強い自己嫌悪に陥る人もいると思います。


 つまり、世界基準として

『介護は「事故を起こさないように」と人の命をただ安全に繋ぐだけの仕事ではいけない!』

と疑問に思われるようになったと言う事です。


 そこで生まれたのがICF(国際生活機能分類)です。




ICF(国際生活機能分類)の考え方とは?

 ICIDH(国際障害分類)はご利用者の出来ない部分、言い換えると悪い部分に注目する目線でした。

「それではいけない!」

と生まれたICF(国際生活機能分類)の考え方はこうです。


「その人の出来る事に注目して、出来る事をやってもらうようにしましょう!」

です。


 つまり、現在当たり前に言われている

『残存機能の維持』

これの元になる考え方と言うことですね。


 出来ない部分を精査するのではなく、出来る事を精査してやってもらうと言う事です。


「目線が変わっただけで、結局最終的には同じことじゃん」

と思う人がいるかもしれません。


 しかし、これは全然違います。

 どのくらい言葉として違いが出るかは次の項目で実際にご紹介します。


 なお、ICF(国際生活機能分類)では

『対象者が《障害者》だけではなく《全ての人》になった』

というおまけも付きましたが、これは簡単にさらっとだけ説明して終わりにします。


 要は、

『出来る部分に注目する』

重要な事はこれだけなので、

「障害者とか健常者とか分ける必要がないじゃん!」

と言う事です。


「健常者でも出来る事と出来ない事はあるんだから、全部ひっくるめて考えれば良いじゃん!」

と言う事ですね。


良く言えば『バリアフリーの促進的考え方』

悪く言えば『競争社会、又は社会主義社会』

と言えるかもしれませんね。




実践現場でのICIDH(国際障害分類)とICF(国際生活機能分類)の違い

 声掛けの内容に大きな違いが出るので、声掛けを例にご紹介します。

 介護実習生に説明する時に実際に行う説明をご紹介するので、実習生に対しての声掛けとして見て下さい。



< ICIDH(国際障害分類)の考え方による声掛け>

『では実習生さんには何をして貰おうかな?』


『内出血や転倒が怖いので移乗介助はさせられません。

 膝折れや失禁等が怖いのでトイレ誘導もさせられません。

 ご利用者への負担が大きくなるのでオムツ交換もさせられません。

 危ないので入浴介助も、着脱介助もさせられません。

 配膳間違いが怖いので配膳もさせられません。

 誤嚥が怖いので食事介助もさせられません。

・・・・このように考えていくと、介護実習生さんにやって貰える事はコミュニケーションくらいかな。


 と言う事でコミュニケーションを取っていて下さい。』


 概ねこんな感じになります。

 どうでしょうか?

 やる気が出ると思いますか?

 否定、否定、否定、その中で消去法として仕方がないからコミュニケーション。


「邪魔者と思われている」

としか感じられませんよね。


 ICIDH(国際障害分類)の考え方、目線だとこれをご利用者に向けると言う事です。

 これで実習生も、ご利用者も幸せになれると思いますか?

 私は無理だと思います。



<ICF(国際生活機能分類) の考え方による声掛け>

『では実習生さんには何をして貰おうかな?』


『ご利用者のことを受容しようとする事は出来ますよね?

 従業員は業務としてやらなければならない事があり、どうしてもその分だけコミュニケーションが疎かになりがちです。

 実習生だからこそ専念できることなのでお願いをしたいです。

 今の私達には難しい、重要だけど疎かになってしまっていることを貴方にお願いしたいんです。

 実習生である貴方だからこそ出来る、傾聴し、受容するコミュニケーションをお願いします。』


 やってもらう事は全く同じです。

 しかし、目線が違うので言葉も必然的に変わります。

 見比べるまでもなく、印象が全然違いますよね。


 ICF(国際生活機能分類)の目線は出来る事に注目するので、

「他にやらせられることがないから、やって欲しい」

ではなく

「これが出来るから、やって欲しい」

なんです。


 いつも言っている承認する目線ですよね。

 承認について知りたい貴方はこちらをどうぞ。




最後に

 今回は目線の話ですが、ICF(国際生活機能分類)とは要はこういうことです。

 何も難しい事は言っていませんよね。


 それを介護業界や教科書は

 生活機能に着目して云々。

 生活機能とは人間が生きていく上で必要な云々。

 背景因子としての環境因子、個人因子がどうで、云々

なんて書くから皆嫌になるんですよね。


 ICF(国際生活機能分類)とは、

「その人の良い面、出来る事に注目して残存機能を活かす考え方」

 この方が分かりやすいですし、介護現場ではこれだけで十分じゃないでしょうか?


 みんなに伝わる言葉を使って行きましょう!



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