認知症者向けのレクリエーション。介護職員が意識すべき重要なことは『慣れ』

※ この記事を読むのに掛かる時間は約10分です。
※ レクのアレンジ方法まで詳しく説明しています。

「何か新しいレクリエーションを考えないといけない」

 貴方の施設で行われているレクリエーション(以下:レク)

 レク委員会でレクを考えるのか、日替わりでレク担当がいて、レク担当が自由に考えて良いのか。


 どちらにしても

「いつも同じゲームばかりやっていて飽きた。もっと色々なゲームをやりたいんだけど」

と悩んでいる介護職員を多く見掛けます。


 それに対して私個人的な意見、結論を言います。

「認知症が悪化するから新しいゲームなんて止めて下さい。」

です。


 今回は

《新しいゲームで認知症が悪化する》

この説明をして行きます。




認知症を悪化させる《強いストレス》

 認知症の勉強会や教育を受けたことのある介護職員なら一度は聞いたことがあると思います。

 認知症は強いストレスで悪化するそうです。


 このことを頭に入れて置いて下さい。



<人前で行うストレス>

「私レクリエーション苦手なんですよね。認知症のご利用者ばかりで反応鈍いし」

このように悩んでいる介護職さんは多くいます。


 しかし、ここでその目線をご利用者に向けてみて下さい。

 実は認知症だから反応が鈍いとは限らないことに気付けます。


 では何故介護施設でのレクはご利用者からの反応が鈍いのでしょうか?


 それは、

「レク苦手だな」

と言っている貴方と同じです。


 つまり、ご利用者も皆がいる前で何かを発言したり、何かを堂々と行う事が苦手で、強いストレスで、抵抗感が強いからです。


 まだレクは職員さんが前に立って、ご利用者は同じ方向を向いているので発言できる人が少数でもいるだけです。


 そして、レクでは積極的なご利用者でも、敬老会等の行事でご利用者代表挨拶をしてもらったらどうなるかご存知ですか?


 声は震え、緊張と強いストレスで泣き出すご利用者もいます。

 普段皆の前でも元気一杯に発言できる、レクに積極的なご利用者でもです。


 根本部分ではみんなの前で発言することは強いストレスなんだと言うことが分かりますよね?


 だからレク、つまり皆のいるところで発言することに抵抗があり、強いストレスになるから見ているだけで発言しないご利用者が多いわけです。



<出来ないは強いストレス>

 高齢者とか認知症者とか関係なく、人は出来ない事に対して強いストレスを感じます。


 言葉で言うだけでは分かり難いと思いますので、少しだけ経験していただきましょう。

 今から説明することをやってみて下さい。


 右手は

《グー》→《チョキ》→《パー》

の順番で変えて下さい。


 右手と同じタイミングで左手は

《パー》→《グー》→《チョキ》

の順番で変えて下さい。

 これをリズミカルに10回やってみて下さい。


 どうですか?出来ましたか?

 普段からこのようなことをしている人は出来ると思いますが、恐らくほとんどの人は出来なかったと思います。


 これを皆がいる人前でやらされると想像して下さい。

 恥ずかしかったり、間違いたくないとの意識なり、様々な感情が入り混じって、頭がカッカッしてくるのが想像できませんか?


 そのくらい、出来ない事をやらされると言うことは強いストレスなんです。


 もっと経験があるような例で言うなら、学校の授業で自分がちょうど知らない部分を指された時のストレス。


 それと同じレベルのストレスが、出来ない事をさせられるストレスです。



<新しいゲームは強いストレス>

 私が

「新しいゲームは認知症を悪化させる」

と主張する一番の理由はまさにこれです。


 新しいゲームは基本的に強いストレスでしかないんです。

 その理由は先ほど言ったことです。

 つまり、新しいゲームはみんな初めてやるので基本的に出来ない事が多いわけです。


 出来ない事は授業で知らない問題を指されるのと同等のストレスと言いました。


 更に新しいゲームなので、ルールを覚えなければなりません。

 知らない事に向き合うこともストレスですよね。

 しかも日課として半強制的に行わされるレクですからね。


 新しいゲームを安易に取り入れるとご利用者に対しては


《知らない事を覚えさせられるストレス》+《出来ないストレス》=物凄く強いストレス=認知症を悪化させ得る


 このようなことを強要し得ると言う事です。

 だから安易に新しいゲームを作り上げることは認知症を悪化させる原因になるわけですね。


 ただし、あくまでも

《安易に》

です。


 新しい刺激そのものが悪いわけではありません。

 適度な刺激はむしろ無感情を解消し、ストレス解消や認知症にも良いと言われています。


 脳トレなんてまさに認知症には良いと言われていますよね。

 しかし、脳トレ等はプロが作っています。

 素人の介護職員が安易に自作すべきではないと言う事です。




認知症者にオススメのレクリエーションは『慣れたゲーム』

 適度な刺激は認知症にも良いと言いました。

 しかし素人の介護職員が安易に新しいゲームを作るのは危険。

 ではどうしたら良いのでしょうか?


 そこで私が注目するのは

《日常でやり慣れたゲーム》

です。


 日常でやり慣れたゲームはありますよね?

「いつも同じゲームで飽きた」

だから

「新しいゲームを考えないといけない」

となっているわけですからね。


 そこで、やり慣れた、飽きたゲームをアレンジするんです。


《ルール自体はほとんどそのままに、アレンジを加えることで刺激を作る》


 介護職員がレクのゲームを創出する上で一番良い方法はこれだと思います。




やり慣れたゲームのアレンジ案

 やり慣れたゲームをアレンジすることも中々難しいことです。

 そこで実際に私が行っているアレンジ方法をご紹介します。

 是非ご活用ください。



<興味ある情報を加える>

 ご利用者世代の高齢者がグッと興味を持つ鉄板の話題。

 それは

《お金》

です。


 これを利用しない手はありません。

 例えば、マグネットでくっ付く魚釣りゲーム。

 釣るものを魚ではなく、オモチャのお札にします。

 これだけで驚くほどやる気が変わります。


 竿を捨てて手掴みしたり、必死に持ち帰るご利用者まで出てきます。


 他にも連想ゲームでも活用できます。

「家電製品を上げていきましょう。」

 こんな単純なゲームでもお金を入れるとご利用者の目の色が変わります。


 上がった電化製品の値段を書いていくだけです。

 例えば、先日私がやったときを例にすると

「テレビ」

と出たので

「テレビですね。今電気屋さんに行くとテレビは大体10~100万円くらいで売っていますね。」

と言いながら

《テレビ 10~100万円》

とホワイトボードに書きます。


「冷蔵庫」

となれば

「冷蔵庫ですね。冷蔵庫は大体2~50万円くらいかな」

と言いながら

《冷蔵庫 2~50万円》

と書きます。


 これだけです。

 こうするとほとんどの場合は

「じゃあそれ買ってよ!貴方に買って欲しい物を言うゲームでしょ?」

のように発展して積極的に参加してくれるようになって行きます。



<話をする>

 ご利用世代は皆の前で発言することがストレスな人が多いと言いました。

 そのため、介護職員が話をする時間を増やすのも一つのアレンジです。


 先のお金を絡めた連想ゲームを例にします。

《テレビ 10~100万円》

と書きながら、

「昔はテレビは1万円もあれば買えましたが、今は1万円じゃ中々買えないんですよね。今はここに書いたように大体10万円は必要ですね。本当に大きいテレビで100万円近く。誰が買うんでしょうね?」

のように話をしながら、近くにテレビがあれば

「だからこのテレビも○万円くらいするんじゃないですかね」

のように普段使っている身近なテレビの値段を一緒に考えるように仕向ける。

等々。


 お金に絡めつつ、連想ゲームは話題を創出する材料にして、職員が話をするコミュニケーションの時間にしてしまうんです。


 お金のことならご利用者は楽しみながら考えます。

 考える行為は頭を使うレクじゃないですか?


 このようなことをしていると、

《ご利用者が欲しい物》

だけではなく、このレクを見ていた他の介護職員からもっと具体的に欲しい物が上がってきたりもします。


「ダイソンの掃除機」

「ルンバ」

「電気自転車」

のようにです。


 他の職員も巻き込めればもうこっちのものです。

 何も上がって来ないと言う現象が起きなくなりますので。


「ダイソンの掃除機は3~10万円」

「ルンバは2~14万円」

「電気自転車は知らない。概ね10万円以上?」

みたいに話を広げられます。


「何でそんなに値段に差があるの?」

のように向こうから話を広げてくれることもあります。


 そうしたら質問されたことに答えるだけです。

 とても楽ですね。


 ただし、このように即答できるくらい物の値段に普段から注目しておく必要がありますけどね。



<点数を付ける>

 先ほどまで紹介したお金と話をする。

 これだけで十分楽しんでもらえます。


 しかし、それが難しい場合は、ゲームに点数を付ける方法もあります。

 今までは

「沢山連想品を上げてもらって、時間でお終い。」

 このような状態だったレクに点数を付けるんです。


 そのことによって

「何点取った人がいたらこのお題はお終いにします。」

のようにゲームに締りをつけられます。


 更に、点数を付けるので、次にあげるアレンジ方法、

《競争させる》

にも活用できるようになります。



<競争させる>

 今の風潮はあまり争いを好みませんよね。

 しかし、それは職員側の価値観です。

 レクを受けているのは高齢者です。

 私達の価値観で行ってどうするんですか?


 その世代は競争世界だったわけです。

 そのため競争要素を加えると燃えるご利用者は多いです。

 競争要素を加えるために、先述した点数です。


「一番点数が大きかった人は優勝です!」

のように出来ます。


 このように順位を付けると、次で紹介する景品をあげると言う行為が不公平感なく行うことが出来るようになります。


「優勝した人が何かを貰うのは仕方がない」

と諦めが付くんですね。


 順位も何もついてないのに、ただ単に

「積極的に参加してくれた」

と言うだけの理由で、何かを特定のご利用者にあげると不平不満の原因になりますからね。



<景品を用意する>

 やはり人は物に弱い。


「頑張って優勝した人には景品を用意しました。」

 この一言だけでご利用者の目が変わります。


 もちろん日常のレクの中でお金が掛かるような景品は準備できません。

 経費が出ないなら個人の出費で用意すべきではありません。


 ではどうしたら良いのか?

 それは余り物です。


 私の施設だと、水分やおやつの余り物がそこそこ出ます。

「そのまま厨房に下ろしても捨てるだけだし」

 そんな時にはレクの景品にしてしまいます。


 私の場合、趣味としてバルーンアートやおしぼりアートをやっています。

 景品としてバルーンアートを作ったり、レクの後の夕食時のおしぼりでおしぼりアートにする等も景品にします。


 私のバルーンアートやバルーンアートの簡単な始め方に興味がある貴方はこちらの記事をどうぞ。


 景品のために介護職員が何か初めてみるのも有りです。

 今出来ないならそれをキッカケに始めれば良いんです。




最後に

 実は、私は以前は新しいゲーム製造マシンでした。


 私がレクをやる時にはいつも自己創作の新しいゲームをやりまくっていました。

 毎回刷新したオリジナルゲームです。

 私的にはオリジナルゲームを作る方が簡単なんです。


 しかし、認知症に関する勉強会で

◎、皆の前で行うことはストレス

◎、出来ない事をやらされるのはストレス

と学び、考えを変えました。


 その時の講師は、介護保険総合事務所代表の鎌田拓海さんです。

 興味がある方は参考にして下さい。


 レクリエーションはストレスではなく、楽しまないと意味がありませんよね

 それはご利用者だけではなく、介護職員である貴方もです。


 新しいゲームを目指すのではなく、貴方も楽しく行えるレクリエーションを目指しましょう!



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