認知症の周辺症状『無気力症』とは?その原因と対処・改善。

2019年12月19日

※ この記事を読むのに掛かる時間は約8分です。
※ 詳しく書いてある記事です。

認知症で無気力になる!

 認知症が原因で無気力、つまり、何もやる気が起きない状態になり得ます。

 これはあまり大々的に言われている事ではありませんし、昔は認知症の本等にも書かれていなかったので、知らない介護職員も多いと思います。


 事言う私も、最近までその一人でした。

 実際に無気力症だと思われるご利用者についての相談をされたことで、調べて知ることが出来ました。


 そのため今回は私が調べた範囲での認知症の周辺症状『無気力症』についての説明と対処・改善方法を書いていこうと思います。


 なお、認知症の周辺症状についてなので、

「そもそも認知症ってなに?周辺症状ってなに?」

と言う貴方はこちらの記事を先に読む事をオススメします。




認知症の無気力症とはどんな症状?

 無気力ですので、自ら何かをするということがほぼなくなります。

 今まで一人で歩き回っていたご利用者が急に歩かなくなった。

 立ち上がりすらしなくなった。


 ご飯を食べなくなった。

 介助しても口が開かなくなった。


 自宅で生活している高齢者なら、今までやっていたのに急に掃除・洗濯・料理等をしなくなった。

等々。


 認知症の無気力症の場合

《出来ない》

のではなく

《やらない》

となります。


 つまり、身体的には行えるのに、感情が体を動かさなくなるんですね。


 何度も言いますが無気力なので、感情の起伏もかなり減少します。

 職員から話掛ければ顔だけ笑うことはたまにありますが、自ら何かを感じて笑うことはほぼなくなります。


 怒ることはまずありません。

 基本的にフラットな状態となります。




認知症の無気力症には何故なるの?

<周辺症状は不安や恐怖から発症する>

 これについて書かれているサイトが見つからないので、私が個人的に解釈します。

 あくまでも勝手な解釈ですので、参考にするも、しないもお任せします。


 認知症の中核症状と周辺症状を明確に意識して下さい。

 認知症の周辺症状だということは、他の周辺症状と同じメカニズムで発症すると考えられます。


 認知症の周辺症状は、

「自分がおかしくなってしまった。」

「自分と言う人間、存在が徐々に消えて無くなってしまう。」

このような暗闇に落ちていく不安や恐怖の中から発症します。


 つまり、無気力症もこの不安や恐怖の感情の中で気力を失うと言う事かと思います。

 ではこの状態で気力を失う時とはどんな状態でしょうか?



無気力は廃人化?

 それは恐らく、

《生きる事を諦めた時》

又は

《自分が消えて無くなることを受け入れた時》

だと思います。


 つまり、

「立ち上がる気がない。」

「ご飯を食べる気がない。」

なんて軽い症状ではない可能性が高いと言う事です。


 いわゆる廃人状態と言えると思います。


 では、何故生きる事を諦め、自分と言う存在が消える事を受け入れてしまうのでしょうか?


 これも私の推測ですが、恐らく

《自身の希望や行動を否定され続けたり、抑止され続けるから》

です。


 これだけでも介護職員や病院関係者はズキンと心が痛むくらいに心当たりがあるのでは?と思います。



<無気力は度重なる否定が原因>

 心当たりがある人には辛いかもしれませんが、具体的な話もします。

 転倒リスクのあるご利用者が立ちあがると

「座ってて下さい。転んで怪我をしても知りませんよ!」

と声掛けしていませんか?


 一度だけならまだしも、その同じやりとりが何百回も行われていると介護者もイライラして

「何度言ったら分かるんですか!?いい加減にして!もう勝手に転んで怪我でもなんでもしろ!」

のように語気荒く、立ち上がる行為がであるような言い方をしてしまいませんか?


 ご飯を中々自力で食べない時に

「ご飯を食べて下さい。」

と器を持ってもらっても、直ぐ置いてしまう。


 これが何度も繰り返されると

「何で食べないんですか?早く食べて下さい。自分で!食べれるでしょ!食べないならもう終わりにしますよ」

のように怒りだしませんか?


 普段から何に対しても、そのようなご利用者からトイレの訴えがあっても

「後にして下さい。こちらのことを無視するくせに、自分が何かして欲しい時だけ都合が良すぎますよ。こっちだって人間なんですからね。」

のようなことを言っていませんか?


 これらは全部現場ではありガチなことです。

 しかし、これらは全てそのご利用者の意思や行動を否定しています。

 しかも立ち上がりなんて、本当に多いご利用者は常に立って座ってを繰り返すレベルで頻回ですから、その回数分だけ否定されることになります。


 それだけやることなす事、自分がやろうとしていること全てを《悪》と言い切られているわけですから、

『自分=おかしい=悪=生きているだけで邪魔』

のようになっても不思議はありません。



<無気力は人災>

 このように認知症の周辺症状として無気力の原因を考えると、不安や恐怖から発症すると言うよりも、周囲からの態度に原因があるのではないかと私は思います。


 このように推測すると、相談されたご利用者もまさにそうでした。

 転倒リスクが高く一日中立ったり、座ったりし、多くの職員に注意され、そのことに腹を立て怒っていることが多かったと思います。


 食事も食べられるのに、食べないことが多く

「もう!何で食べないの!」

と怒られていたように思います。


《認知症者を否定してはいけない》

 これはただ単に傷付けてしまうなんて生易しいことではなく、人間としての存在意義、生きる気力を奪う行為なのかもしれません。


 認知症の周辺症状である無気力症は、介護者や関わる人間による人災の一種なのかと思います。




認知症の無気力症の改善・対処方法は?

<治療方法>

 ご利用者が無気力になってしまった責任追及を介護者に対して行っても何も変わりません。

 現場の介護職員として重要なのは、無気力症になってしまったご利用者の改善方法や接し方を知って回復して貰う事です。


 まず、認知症の周辺症状の無気力症に効く薬はないそうです。

 治療方法としては心理療法。

 つまり心理カウンセリングによる改善しかないそうです。


 これも介護福祉士試験の試験範囲ですから、フロイトの精神分析、ユング理論、パブロフの犬に代表される行動主義理論(認知療法)、マズローの欲求論くらいは聞いたことがある人も多いかと思います。


 心理カウンセリングが有効と言うことも踏まえて、認知症の無気力症を改善するために介護職員が出来る事を紹介していきます。



<規則正しい生活>

 起きる時間、食事の時間、就寝時間等、生活のリズムを出来るだけ同じ時間にすることが有効だそうです。

 これはそうすることで、自律神経を正常に働かせる意味合いが強いと思います。

 そのため、朝日に当たる習慣も良いと思います。


 人は朝日に当たることで、ズレた体内時計を正常に整えるそうです。

 自律神経が整うんですね。


 だから、

「休みの日は昼まで寝る」

と言う職員さんは気だるそうにしている人が多いんですよね。


 ちなみに、

「うちの職場のそのような職員さんはいつも元気ハツラツですよ」

と言うのは職場だけの話だと思います。


 プライベートでは結構気だるそうに過ごしている事が多いと思います。

 もちろん全ての人とは言いませんが、昼まで寝る習慣の人は、私が知る限りではほぼ全ての人がそうです。



<決まった時間に体を動かす>

 無気力ですから自発的に動く事はほぼしません。

 最低でも、体を動かすことが目的では動きません。


 そのため、介護職員からの働きかけで体を動かしてもらう時間を設けます。

 その際、出来れば毎日決まった時間に行うと良いそうです。


 時間が毎日違うとそれだけで体内の感覚がズレてしまうのかもしれませんね。

 規則正しい生活が決まった時間に行動してもらうことですから、体を動かす運動の時間も決まった時間が良いのかもしれませんね。


 なお、少しでも自発的に体を動かす部分があったら自発性を尊重し、介助しない方が良いそうです。



<声掛け方法>

 基本は否定しないこと。

 これは無気力症じゃなくても、認知症全般に言える事です。


 個人的な意見を言わせてもらうと、認知症とか関係なく、人として他人を安易に否定すること自体どうかと思いますので、人として基本的なことです。


 ここからはまた個人的な推測になりますが、否定しない声掛けを基本として、応援することもNGだと思います。


 これは心理カウンセリングが有効とする部分を考慮すると見えてきます。

 自発性を尊重する対応をしていると、自発的に何かし始めた時に

「頑張って!○○さんなら出来ますよ!凄い。ほらもっとこう頑張って」

のように言いたくなると思います。


 しかし、無気力、生きる気力すら失っている状態で体を動かしているわけです。

 これって物凄く頑張っているんですね。


 既に物凄く頑張って必死な状態なのに、

「頑張って」

と言われると

「お前の頑張りなんてまだまだ大したことはない。怠けてんじゃない。」

と言われているのと同じです。


 心理状態が後ろ向きな状態だから、そのように受け止めがちなわけです。

 だから応援するのはリスクが大きいと思います。


 ではどうしたら良いのか?

 事実を述べるんです。

 例えば無気力症のご利用者が立ちあがったとします。

 それなら

「○○さん立ち上がりましたね!」

です。


 表情を見ながら

「凄いですね!」

のような褒めも良いと思います。


 ただし、褒めも安易に何でもかんかんでもやるとマイナスになり得るので、表情を読み取れない場合は安易に言わない方が良いと思います。

 褒めのマイナスになり得る説明はこちらをお読みください。


「○○さん、右足が前に出ましたね」

「ご飯飲み込めましたね」

「笑いましたね」

 このような事実を言葉にして本人に伝える。


 これだけでも効果があると思います。

 そうすることで、無気力になっている自分が自発的に行っている部分を客観的に自分で意識することが出来ます。


 言葉にして言われないと、無気力状態だと自発的な行動も意識できずに何の刺激にもならないので、このような声掛けも重要です。




最後に

 無気力症はあまり詳しい情報量がなく、介護者としてはむしろ手間が減る分だけ

「やっと落ち着いて助かる」

となることもあると思います。


 そのため、食事を全く食べられなくなって生死に関わるレベルになって初めて

「どうしよう!」

となる症状かと思います。


「最近○○さん元気なくなったなぁ」

という感覚を

「症状が落ち着いて楽になった」

と解釈せずに無気力症なのでは?と心に寄り添う接し方を意識してみてはいかがでしょうか?


 目に見えない難しい部分ですが、無気力症を改善出来たら

《奇跡を意図的に起こせる介護施設》

と言われるかもしれませんよ。


 まさに この本に書かれている

《特別養護老人ホームさつき荘》

のようですよね。


 ここは本当に凄い施設だと思います。



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