認知症予防を学べる!?《ハンバーガーを待つ3分間の値段~ゲームクリエーターの発想術~》

シーマンはこうして生まれた!


 一言で言うと

「ゲームのシーマンはこうして生まれた!」

というような内容の本です。


 シーマンとは、音声認識機能を使って新種の会話が出来る魚と会話を楽しむゲームです。


 そんなシーマンを開発したクリエーターが書いた本です。

 基本的に

「なんでも介護に活かせる」

のスタンスで本を読んでいる私は、やはりこの本からも介護に活かせることを学びました。


 介護と絡めて、この本の紹介をしていきますので、少しでも興味を持った貴方は是非一読下さい。

 読みやすく、すぐに読み終わるくらいの本です。


 それでは

《ハンバーガーを待つ3分間の時間~ゲームクリエーターの発想術~ 斎藤由多加》

の紹介です。




名前のないもの

 ゲームクリエーターはゲームを開発したら、そのゲームの事を知らないユーザーに説明をしないといけません。

 そのために作成する必要があるのは、いわゆるゲームの説明書です。

 しかし、その人にとって”当たり前”になり過ぎており、詳しいからこそ、専門家だからこそ見えなくなっている事柄が多くあるそうです。


 そのような部分がある説明書を見ると

「何かが足りない」


必ずこの

《言葉に出来ない違和感》

が残るそうです。


 実はこの

《言葉に出来ない違和感》

 これに気付くことは介護職員にとってとても重要なスキルです。


 言葉に出来ない気付き能力によってご利用者の大病に気付き、守ることもできる介護職員特有の最強スキルの一つです。

 介護職員の気付き能力に関してはこちらをどうぞ。

 こんな見えない物や気付かない事について書かれている項目です。

 いわゆる

「言われてみれば確かに」

と言う事ですね。




解釈する力

<相手に合わせる>

「情報の価値は受け手のIQに比例する」

 これは介護をしていれば実感することは大きいと思います。


 何気なく言った言葉をご利用者がどのように解釈し、意味を受け取るのか?

 重度の認知症のご利用者に対しては正確丁寧に、分かりやすい簡単な言葉で、端的に伝えようとしませんか?


 それは相手に合わせているわけですよね。

 つまり同じ内容のことを伝えるとしても、相手のIQに合わせて伝え方を変えています。



<簡略化された言葉>

 例えば、

「トイレ」


 この一言で

《今は夜の9時だから寝る時間だな。寝る前にトイレに寄って寝た方が良いと言う意味だな》

と捉える人もいれば、

《トイレ?トイレって何?》

と捉える人もいます。


 同じ

《トイレ》

と言う言葉だけでも受け手のIQによって受け取り方が全然違います。


 では、何事にも親切設計で、キチンと説明をした方が良いのか?

 実はそんなことはなく、道案内の地図は親切に何でも書き込まれているよりも、むしろ簡略化されていた方が分かりやすい。


 そんな受け手のことを考える項目です。




行列の科学

<待つ事は強いストレス>

 マクドナルドでフィッシュバーガーを注文したとします。

 すると

「今から作りますので、3分ほどお時間を頂きますがよろしいでしょうか?」

このように言われることがあります。


 もちろん、フィッシュバーガーではなく、ビッグマックでも、月見バーガーでも、何でも良いんですが。


 この話が本の題名にもなっている

《ハンバーガーを待つ3分間》

です。


 この項目では、人は

《待つ=強いストレス》

と言う事について書かれています。



<認知症を悪化させる介護職員の言葉>

 この部分が一番私は介護に重要な項目だと感じています。

 まさに介護職員の多くが、待つストレスの中でも最大限に強いストレスをご利用者に与えてしまっていると感じました。


 待つと言う行為の中でも最大限に強いストレスとは、

《ただ単に待たせる事》

です。


 介護現場で言うなら

「待ってて下さい」

とだけ言う行為のことです。


 この待つストレスを大きく軽減させる方法がこのマクドナルドの

「3分お待ちいただけますか?」

です。


 人は先の見えない漠然とした待機ほど強いストレスを持つ事はありません。


「いつまで待てば良いんだ?このまま忘れられて放置されてしまうのではないか?」

等、待つ事以外の悪いことまで考えてしまうからです。


 このストレスは認知症を進行・悪化させるレベルの強烈なストレスです。

 そのため、ただ単に

「待って下さい」

とご利用者を待たせる行為は認知症を悪化させ得るわけです。

 なお、そもそも認知症とは?

を知りたい貴方はこちらの記事をお読みください。


 認知症に掛かるのは年齢のせいだとしても、悪化させるのは介護職員のせいな部分もあると言えるかと思います。

 いわゆる人災ですね。


 ではどうしたら良いのか?

 そこで、先程のマクドナルドの話です。


「3分間」

のように、明確な基準を与えられると人は漠然とした苛立ちではなく、時間を見るようになります。


 更に、マクドナルドの場合にはお客に選択肢を与えています。


「3分ほどお時間を頂きますがよろしいですか?」

の中には

「3分待つか、フィッシュバーガーを諦めるか、どちらか選択して下さい」

と言う意味があります。



<尊厳を守る介護>

 これは介護で耳にタコが出来るほど聞いたことですよね?

 そうです。

 介護原則の一つ。

 ご利用者本人に選択する権利を与えることです。


 ただ単に

「待って下さい」

だとどのくらい待てば良いのか分からないだけではなく、待つ以外の選択肢を強制的に奪っているんですね。


 そのため、

「3分くらいお待ちください」

のように、目安を提示したお願いをするようにしましょう。


 中には

「具体的な時間を提示して、その時間内に行けないと失礼だから具体的な時間を言うな!」

と指導している古カブの介護職員もいます。


 私も新人時代にそのように指導されました。

 しかし、そこにご利用者を思った根拠は何もありません。


 そんな自分勝手な老害介護職員の言う事を聞く必要はないと思います。


 提示した時間はあくまでもご利用者に他の選択肢を与えるための行為であって、本当に3分以内に介助できる必要はありません。


 そこで結果5分後に介助することになっても、ご利用者にはそこまで大きなストレスではありません。


 何故なら、待つ行為が先の見えないイライラではないからです。

「3分あれば一度部屋に戻って」

等の選択肢もあるからです。


 実際にマクドナルドで

「3分待って下さい」

と言われて時間を測ると5分くらい掛かることもあるそうです。


 他にも待つ事をイライラしないようにする例としてディズニーランドの例もありますので興味のある人、介護職員は必須の項目です!


 なお、ご利用者に選択する権利を与える等、介護における尊厳とは?

についてはこちらの記事をお読みください。




選択の基準

<どちらを選択する?>

 この部分ももちろん介護には重要な項目です。

 人によってはここが一番重要と感じる介護職員もいると思います。


 人が物事を選択する時に考慮する基準の話です。

 中国旅行に行った先で喉が渇きました。

 そこで、中国の路上で売られている謎の飲み物と、コカコーラ。

 貴方ならどちらを飲みますか?


 もちろん人によるところは大きいと思いますが、多くの人はコカコーラを選択します。

 折角中国旅行に行き、中国のご当地品を楽しみたいハズなのにです。


 それは何故でしょうか?

「何だかんだ言って、得体のしれない物よりも安定のコカコーラ」

と言うことではないでしょうか?


 この

《安定の》

と言う状態がとても重要なんですね。



<安定の存在>

 貴方も疑問に思った事はありませんか?

 観光地にはマクドナルドとか、セブンイレブンとか、どこにでもあるようなお店が必ずあることに。

「折角旅行に来ているのに、マックはないって。コンビニじゃなくて、ご当地品を買うでしょう!」

のように。


 しかし、旅行という非日常、自分の知らない地だからこそ、安定の食べ慣れた、見慣れた場所を選択する人が結構数いるんですね。


 だからマクドナルドやセブンイレブンと言う、どこの地域にもある安定のお店が観光地だからこそあるわけですね。


 このように基準となると、そこには『味』と言うモノはあまり重要ではなくなります。

 ここで重要なことは

《安定の、安心感》

です。



<いつもやるレクリエーション>

 これは介護のレクリエーションに言える事です。

 認知症の方々にとっては複雑な知らないルールのゲームをやることは強いストレスです。

 それこそ知らない地へ一人で旅行に行くようなモノです。


 それは良い刺激ではなく、嫌なストレスです。

 嫌なストレスは認知症を悪化させる原因の一つです。


 そのため、認知症のご利用者がいる介護施設でのレクリエーションの基本は安定の、やり慣れたゲームにすべきなんですね。


 たまに介護職員の感覚で

「もっと他のゲームを考えろよ。飽きた。」

との意見を見聞きしますが、彼らは何も分かっていないと言う事です。


 ご利用者にストレスとならない、物凄く分かりやすく簡単で爽快感のあるゲームなら良い刺激になると思います。

 しかし、そんな素晴らしいゲームを簡単に創作できる自信はありますか?


 しかも、ご利用者の認知症悪化と天秤にかけてですよ!

 どれだけのことをレク担当に求めているのか、疑問ですよね。




日常生活の中のエイリアン

 人は自分の感覚内のことを受け入れる。

 知らない未知のことには抵抗感、拒否反応を見せるんですね。


 その代表例として挙げているのが携帯電話です。


 今ではスマホはかなり普及していますが、これを

《電話》

として売り出さなければ恐らくここまで普及していなかっただろうと言う話です。


 これを小型無線機として売り出していたら、貴方は買っていましたか?

 恐らく買っていないと思います。

 何故なら、無線機なんて身近な物じゃないからです。


「持ち歩ける無線機?そもそも無線機って何ができるの?持ち歩けると何なの?」

で終わりです。


 ここで世間一般に受け入れやすい

《電話》

として売り出したから、

「携帯できる電話なんて凄すぎる!」

と受け入れられたと言う事です。


 プリクラも同じですね。

「シールになる証明写真!」

なんて発表していたらここまで普及しなかったと思います。


 他にもこのように、受け入れられる身近なモノとして普及しているモノは沢山あります。

 例えば、下駄を入れない下駄箱、筆を入れない筆箱、筆記用具を使わないパソコンでの執筆、郵便局を介さないメール、重量がないデータの「重い、軽い」・・・等々。


 このように実は違うものかもしれないのに、私達の生活の中に自然と溶け込み、受け入れられて潜んでいるモノを筆者はエイリアンと表現しているんですね。


 ここでのエイリアンは、映画『エイリアン』ではなく、メンインブラックの世界のエイリアンですかね。




人を動かす引力

<人は自分で動く>

 物事の枠組みを作ると言う部分ですね。

 今世間でも、インターネットでも、とても多く利用されているサイトはどんなサイトでしょうか?


 グーグル検索、ヤフー検索、ツイッターやユーチューブ、等々。

 いわゆる大手のサービスを頭に思い浮かべると思います。


 実はこれらには”ある”共通点があります。

 それが、サービス自体は枠組みを用意しているだけと言うことです。

 その中身、つまりコンテンツはユーザー、お客さんが自ら作っているんですよね。


 検索エンジンでヒットするもの、中身は私のように記事等を文章で作成している一般ユーザーです。

 ツイッターも、登録した一般ユーザーの呟きで成り立っています。

 ユーチューブもユーチューバーと言われる人達がいるくらいで、彼らの動画投稿によって成り立っています。


 それぞれ、グーグルが、ヤフーが、ツイッターが、ユーチューブがコンテンツを作成して提供しているわけではありません。


 枠組みを作り、ユーザーがコンテンツを作成・提供したくなるように誘導しているだけです。



<シムシティの真実>

 その一つの例としてシムシティと言う街を作るゲームの話があります。

 プレイヤーが好きな街を作り、人口を増やし、街を発展させる事を楽しむシミュレーションゲームです。


 人口を増やすためにはお金が必要です。

 お金を増やすためには工業地帯が必要です。

 工業地帯が増えると環境悪化で人口が減ります。

 環境悪化を改善するためには自然や公園を増やす必要があります。

 環境悪化が改善されると人口が増えます。


 するとゲームプレイヤー達は

「環境が悪くなったら公園を作れば解決するよ」

と言い出します。


 この

《環境が悪くなったら公園を作れば良い》


 シムシティのクリエーターはこのことを

「自分達の問題として実感して欲しい!」

と言うのが本来の目的、伝えたいことだったそうです。


 それをゲームを通して、実感として伝えるために

「環境が悪くなったら公園を作れば良い」

に繋がるようなゲームの仕組みを提供したわけですね。


 これはとても面白い発想だと感心しました。


 介護で言うなら、ご利用者が忘れてしまったことで文句を言ってきたとして、言い争うのではなく、ご利用者の主張や言い分を納得してもらう仕組みを構築することが出来れば、お互いにストレスなく、納得出来るコミュニケーションが取れると思います。


 私程度では具体的なモノはまだ思い付きませんが、この発想は持ち続けるべきだと思います。




正論の範囲

 これは一言で言うと

《後ろめたさを相手に与えると、相手の行動が変わる》

と言うことです。


 これをご利用者の行動を変えるために活用するのはNGだと思います。

 そうではなく、

「そんな言い方をしたらご利用者には後ろめたさを与えてしまいますよ!」

と言う方面で知っておくべき部分かと思います。


 ここで筆者はシーマンのデモをプロモーションした時の話を紹介してくれています。

 事前に想定した言葉に対して、決まった返答をするようにプログラミングしていました。

 しかし、お試しで遊ぶ人達はその想定通りには話掛けてくれない。


 貴方も何となく分かりますよね?

 会話のできるゲームと言われたら、わざと変な会話を振りませんか?

 シーマンの時にもそれが起きたわけです。


 すると設定していない言葉に対しては

「聞き取れなかったのでもう一度言ってくれ」

となります。


 その繰り返しだと人は飽きてしまい

「会話できるって、出来ないじゃん。シーマンはバカじゃん」

と去っていきます。


 そこで筆者はどうしたのか?


 それは

「そんな想定していないことを言ってくる、ユーザーが悪い事にしてしまおう!」

と考えました。


 つまり、設定していない会話を何度もしようとしてくる相手には

「お前の言っていることわかんねぇよ!つまらないから、もう帰る!」

とシーマンが怒ってしまうようにしたそうです。


 すると、

「ゴメンねシーマン。今度はちゃんと会話するから機嫌を直して戻ってきて」

と客が謝りだすんです。


「そこまで言うなら仕方ねぇな」

とシーマンは戻ってきます。


 プログラムのレベルは何も変わっていません。

 会話の中身も基本的に変わっていません。


 しかし、全体の流れが大きく変化しましたよね。

 これはシーマンがお客に後ろめたさを与えたからです。


 このように、人は後ろめたさを感じると変わると言うことです。


 何度も言いますが、ご利用者にこれをこのままやってはいけませんよ。

「自分は人に迷惑を掛けるダメな人間なんだ」

と自己嫌悪に陥りますからね。


 このように

「貴方が悪いんでしょ!」

のように

「ご利用者に後ろめたさを与えるようなことを言ってしまわないように気をつけましょう!」

と言う部分で必要な項目です。




ダニのいる物件

 賃貸マンションの広告で大々的に書かれていた言葉

《ダニ》

この一文字。

 筆者はこの強烈ワードが気になりその広告を隅から隅まで見たそうです。

 その姿を見た通行人も気になり、人だかりが出来てしまったそうです。


 貴方はどうですか?

 広告で広告の半分を占める場所に一言

《ダニ》

とだけ書かれているマンション。

 私も気になってしまう一人です。


 ちなみに筆者は気になり過ぎて物件の問い合わせをしたそうです。

「これってあの害虫のダニのことですか?」

と。


 すると不動産屋からは驚きの言葉が返ってきました。

「はいそうですよ。あのダニです。でもあのマンションは終わっていますから。」


 また気を引く言い方をしてきますよね。

 この不動産屋は人の関心を引くのが本当に上手だと思いました。


 筆者も気になり質問したそうです。

「終わってるって、ダニが酷くてマンションとしてダメということですか?」

と。


 するとまたまた驚きの回答がありました。

「いいえ、そのマンションは人気で、既に契約が決まっていると言う意味です。」


 どうですか?

 ダニがいるマンション。

 これって当たり前なことですよね。

 ダニが一匹もいないマンションなんて恐らく存在しません。


 しかし、それはむしろマイナス情報で、ワザワザ言う必要もありません。

 それを敢えて一番大々的に宣伝し、他の重要な情報は極力省略する。


 すると

「なんだこれ!」

と興味を持った人から問い合わせが来る。


 まさにこれを狙った広告なんだと思います。

 本来マイナスになり得る部分を敢えて強調することで、強みに転じている面白い事例だと思います。


 介護職員の中には

「自分ってダメだな。役に立てないな。介護に向いていないのかな」

等と悩んでいる人が大勢います。


 しかし、貴方のその部分は強み、メリットにもなり得るのかもしれません。


 表現的には嬉しくはないかもしれませんが、

 貴方のコンプレックスは、絶大な良い効果をもたらす、

《ダニのいるマンション》

になり得るのかもしれません。




最後に

 この本は介護の本ではありません。


 介護職員が普通に

「介護を勉強しよう!」

「成長するために勉強しよう!」

と考えていたら絶対に手にする事はない本だと思います。


 しかし、とても介護にとって重要なことや、介護のコツ、ヒントが多くありました。

《何でも介護には活かせる》


介護って素晴らしく、そして面白い世界ですよね。



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