認知症の始まり。初期症状と対応・ケアの仕方。

2020年8月3日

認知症の始まり

※ この記事は認知症本人の気持ち理解に特化しています。

 そうではなく、

「家族や周辺の私達はまず何を、どうしたら良いのか?」

が気になる貴方はこちらの記事を先にお読みください。

>>>「親が認知症かもしれない。」と思ったら家族が読むべきマニュアル。



<認知症は何もわからなくなるの?>

 世間的にこんなことを言っている人達がいます。

「認知症って発症した人達って楽で良いよな。周りの介護をしている人達が大変なだけだし。私も介護が必要な年齢になったら早く認知症になっちゃいたいな。」

これは何も分かっていませんね。


認知症は何も分からなくなるわけではありません。



<自分という存在が消えていく>

 認知症の感覚は徐々に《自分と言う存在》が消失していくような感覚です。


 認知症状が進行すれば進行するだけ、自分と言う存在が消えていきます。


 そのため認知症の初期・始まりは

「自分がおかしくなっちゃったのかな?いや、そんなはずはない」

と、物凄い葛藤があります。


 だって、自分が消失していく感覚を、自分で認めて受け入れることが出来る人はいますか? 


 普通は無理です。

 そのため強い葛藤が生じます。


 それが認知症の始まりです。



<恐怖と不安の中生きる>

 その恐怖に抗うため、その恐怖に発狂してしまうため、普段ではしない様々な行動を起こすようになるんです。


 つまり、認知症でいわゆる問題行動と言われる行動をする人の心は

《恐怖と不安》

が支配している状態なんです。


  心の中全てが恐怖と不安に支配されている中で生きていく。

 貴方に耐えられますか?

 普通は無理なんです。


 そのくらいに辛い症状なのが認知症です。

 この事を知っていると

「認知症って楽で良いな」

と軽口は叩けなくなりますよね。


 なお、

「そもそも認知症って何?」

と言う貴方はこちらの記事をお読みください。




認知症者との接し方、コミュニケーション方法

<認知症の問題行動>

 認知症には様々な問題行動が発生します。

 ・・・この表現に違和感を持った人はいますか?

 もし違和感を持ったなら、貴方は認知症のことを理解しています。


 認知症によって発する問題行動は実は問題行動ではないんです。


《問題行動》

と言うのは認知症を発症した人の心を理解していない、介助している者が勝手に言っているだけなんですね。


 介助している者にとって大変だから

《問題行動》

と呼んでいるだけなんです。



<認知症者の行動原因を考える>

 その《問題行動》をしている本人にとって、その行動は問題行動ではないんです。


 そこには必ず何かしらの理由が存在しています。


 そのため認知症ケアで、認知症の人との接し方、コミュニケーションを取る時に重要なことは、

「その行動には必ずキチンとした理由がある」

と考えることです。


 これは認知症者との接し方云々以前に、人と接する時に必要なことですよね。


 だから本来は、

「認知症者だから」

と言う特別なことはないんです。


 その行動が客観的に見ると異様に見えているだけで、本質的な接し方は他の人達と接するのと同じです。


 それを踏まえて、認知症の初期症状として現れることの多い行動について見ていきましょう。




認知症初期は怒りっぽくなる

<異様に見える>

「他の人達と同じ接し方をしなさい!」

と言っても、やはり客観的に見て異様に映るため、理解は中々難しいものです。


 そこで一般的に多い初期症状の原因と接し方を紹介します。



<怒りっぽくなる>

 認知症の初期症状、つまり認知症になり始めの頃、人は怒りっぽくなると言われます。


 認知症の体験談や映画、本等を見ても

「急に性格が変わった!怒りっぽくなった」

なんて耳にします。


 実はそれには原因があります。

 その原因とは、先程言った理由です。


 つまり、

「自分と言う存在が消えていく。」

この恐怖に抗っているため怒りっぽくなるんです。



<不安と恐怖に抗う>

 認知症では自分が消えていくことを止められないんです。

 だからどうしようもない中で、感情を爆発させるくらいしか恐怖や不安に立ち向かえないんです。


 別の強い感情で、自分の中にある不安や恐怖を誤魔化すんです。

 最低でも怒っている最中は不安や恐怖は軽減しますからね。


 それが

「認知症初期は怒りっぽくなる」

と言われる原因、理由です。


 貴方は、他に不安や恐怖に抗う手段がない状態の人に対して

「何怒ってるの!?他の人達の迷惑でしょ!落ち着いて。やめなさい」

なんて残酷な言葉を掛けられますか?




読書をし始める

<症状は本人の中で起きている>

「読書くらいすれば良いじゃん」

と思うかもしれませんが、先程も言ったように、

《問題行動=認知症》

ではありません。


 問題行動と言うのは介助者にとって大変、問題と言うだけの話です。


 今は本人にとっての症状の話をしています。

 本人の中での変異が認知症です。

 そのため、認知症初期に発症する症状として読書もあります。


 今まで読書をしていなかった人も読書を始めるんです。

 これにも理由があります。



<急に読書を始める理由>

 認知症初期は

「自分がおかしくなった!」

と不安と恐怖に支配されます。


 そのため本人としては

「自分がおかしくなった」

と言うことを周囲にバレたくないんです。


 何とかして、自分の中で起きている異常を隠そうとします。


 その手段の一つが読書なんです。



<読書を始めた本人の心の中>

 急に読書を始める認知症者の心の中は

「私は読書出来るくらいまだシッカリしているんだよ!」

です。


 つまり、

《読書=シッカリしている象徴》

なわけです。


 しかし、本を読んでいるのではなく、読んでいる風を装っているだけなので、本が逆さまになっていることが多いです。


 認知症によって、本の上下の認識が出来ない場合も多いので、上下逆さまでも気付きません。



<残酷な声掛け方法>

 このような人に対して

「本が逆さまだよ」

「それじゃ読めないでしょ?読んでないよね?」

なんて残酷なことが言えますか?


 この部分を指摘すると言うことは

「あんたは狂ってきているんだよ!もう皆知っているんだよ!とっとと認めろよ!」

と言っているのと同じですからね。


 読書をし始めた人に対して変な部分を指摘するのは、とても残酷なんです。



<適切な声掛け例>

 急に読書を始めた高齢者との接し方は、気付かない振りをして下さい。


 要は変になったと言う部分を刺激しなければ良いので、

「読書するんですか!凄いですね!私は読書苦手で」

くらいがちょうど良い声掛けになります。


 それ以上本の中身等まで深く話をしないで下さい。

 本人は隠すために装っているだけで、中身は分かりませんので、変に焦らせて、ストレスを与えるだけですので。


 ちなみに、読書習慣が元々ある人でも、本が逆さまなまま持つようになったら、この心理ですのでご注意を!




汚物を隠す

<汚物を隠す理由>

 認知症初期には排泄物で汚れた衣類やパット類をタンスの奥や机の引き出しの中、普通のゴミ箱等々に隠します。


 その理由は・・・もう言わなくても分かりますね?

 読書と同じです。


「自分がおかしくなった」

と言う事を周囲に悟られたくないからです。



<失禁は特にショックが大きい>

 いわゆる失禁ですが、この失禁と言う現象は人としての尊厳を失うレベルのショックな出来事です。


 最大限に傷つく出来事と捉えて下さい。


 この辺りもっと詳しく、介護における尊厳について興味があればこちらの記事をどうぞ。



<残酷な声掛け方法>

 これも残酷な声掛けは読書と同じですね。

「また汚れた衣類を隠して!汚れたなら洗濯機に入れてよ」

と怒る行為がいかに残酷なことかわかりますね?


 介助者は失禁することを簡単に受け入れることが出来ます。

 そのため、

「失禁は良いから、せめて労力を増やさないで!」

と思うわけです。


 しかし、本人は受け入れられていないんです。

 だから、洗濯機に入れるのではなく、タンスに隠すんです。


 本人としては洗って欲しいのではなく、見られたくないんです。

 そして自分で認めたくないんです。

 だから隠すんです。



<失禁衣類を見せてはいけない>

 本人に失禁をしてしまった事実を認めさせるメリットはありませんのでしないで下さい。


 結構多く、失禁した衣類を見せる介助者がいます。


 何度も言いますが、本人は自分が変になったことを認めたくないんです。

 そんな人に対して、認めざるを得ないレベルの証拠を突き付けるとどうなるでしょうか?


 それをしても認めません。

 それを認めると言うのは、本人的には失禁を認めることではないからです。


 本人的には、自分が変になったこと。自分と言う存在が消えていくことを認めることになるから認められないんです。


「今これ!貴方が失禁したの!見える?」

と言う指摘は

「お前はもうすぐ消えてなくなる運命なんだ!お前なんか不要な存在だ!いなくなってしまえ!」

と言っているのと同じです。


 簡単には認められませんよね?

 失禁衣類等を見せて指摘すると多くの場合、

「貴方が今持って来たんでしょ?私に失禁したと濡れ衣を着せようとしているな!」

と怒りだします。


 もしも万が一、この方法で認めるとしたらそれは

《失禁したこと》

ではなく

《自分が不要な存在で、もうすぐ消えて無くなる存在》

と言うことを認めたことになります。


 失禁しなくなるのではなく、生きる気力ごと奪うことになります。


 生きる気力を失ったら認知症は加速度的に症状が悪化していきます。


 その高齢者の認知症が急激に加速したら、その原因は貴方です。



<適切な対応方法>

 これも読書と同じで気付かない振りが基本です。

 でも、汚れた衣類や排泄物をそのまま放置する事は出来ません。


 ではどうしたら良いのか?

 本人がいないうちに回収することです。


 本人は隠したこと自体は忘れてしまいます。

 そのため、

「タンスに隠したはずなのに、なくなっている」

とはなりませんので、いないうちに回収しましょう。


 絶対に本人の前で回収しないようにして下さい。

《失禁衣類を見せて、無理矢理に認めさせるとどうなるのか?》

 は先ほど言った通りです。




最後に

 代表的な初期症状と、その原因、対応方法等について見てきました。


 重要なことは表面を見るのではなく、その行動原理は何なのか?

 その理由を考えることです。


 認知症での問題行動と呼ばれる行動には必ず理由が存在しています。


 本人にとっては問題行動ではなく、理由のある普通の行動だからです。


 介護職員はその部分を読み取って介助をするプロです。

 一見ただ話を聞いているだけ。

 ただ会話をしているだけ。

 ただ介助をしているだけ。

ではないんですね。


 だから介護職は高度なスキルを持った専門家なんです。

 そんな介護職員の高度なスキルを支えているのが傾聴と言うスキルです。


 傾聴に興味があればこちらの記事をどうぞ。

 貴方の大切な両親等が急に性格が変わった。

 その時には、認知症による不安と恐怖に支配されているのかもしれません。


 そのことを頭に入れて接して下さい。

 見守ることだって重要な時はあります。


 無理せず行くことです。



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