介護施設で暴力を振るってくるご利用者の原因と解決方法。<原因は介護職員にあり!?>

2020年1月8日

「介護は暴力を振るわれて理不尽」

 ネットでも、現実でも、必ず介護職員の中にこのようなことを言う職員がいます。

「介護職員がご利用者に軽くでも手を出せば犯罪として大問題にされる。でも、その逆、ご利用者から介護職員への本気の暴力は毎日のようにされていても問題視されない」

「介護職員なんだから耐えろと言われる」

等々。


 もしも、貴方や貴方の周りにこのように考えている介護職員がいたらハッキリと言います。

 それは貴方や貴方の周りの介護職員が未熟なことが原因です。


 これに介護経験年数は関係ありません。


 介護を

「誰にでも出来る仕事」

「底辺の仕事」

と作業としてやっている人では何十年やっていても変わりません。


 貴方の努力次第でご利用者に暴力を振るわれないようにすることは可能です。

 そのためにはまず、介護と言う仕事を自分達都合で行うだけの作業じゃなくすることからです。




ご利用者は暴力を振るいたくない

 ご利用者は人を殴りたいとは思っていません。


 このように言うと貴方は

「○○って利用者は毎日殴ってくるのに、殴りたくない?ふざけんな!そんなわけあるか」

と思うかもしれません。


 普段から暴力を振るわれているとどうしても感情的にカッとなり

「この野郎!暴力老人、老害が!」

のように思いたくなると思います。


 しかし、本当にご利用者は殴りたくて殴ってくるわけではないんです。


 むしろ逆です。

 人を殴る行為への抵抗感はご利用者も貴方と同じなんです。


 ご利用者も、貴方が他人を殴り飛ばすことに抵抗感を持っているのと同じ感情を持っています。

 貴方が他人を殴ってしまったら心が苦しくなり、罪悪感に苛まれるのと同じように、ご利用者も殴る度に心が苦しく罪悪感に苛まれています。


 この強いストレスは認知症を更に加速させ得ます。

 その理解がまず、介護職員としての知識が未熟だった部分の一つですよね。




ご利用者が暴力を振るう理由

<介護者都合の介護>

 介護施設でご利用者が暴力行動を起こす一番の理由はこれだと思います。


 もし

「ご利用者に毎日のように殴られる」

と悩んでいる貴方はこんな介助をしていませんか?


  • 「今は出ない」と言っていてもトイレの時間だからと全員トイレ誘導
  • 「食べたくない」と言っているのに食事を促し続ける
  • まともな声掛けもしないでいきなりオムツ・パット交換を始める
  • 入浴日だからと言う理由で風呂場に連れて行く
  • 自分で脱いでいるのに「次入浴の順番だから早く脱いで」と介助で衣服を脱がす
  • 勝手にタンス等を開ける
  • 「見守りしにくいから」と車いすを無断で押す

等々。


 一つでもやっていたら殴られる環境にあります。

 当然複数該当したら、その分だけ殴られるリスクは増します。


 毎日殴られるような環境にあるなら、恐らくほぼ全て該当するのではないでしょうか。

 一つでも該当したら殴られ得るモノをほぼ全部やっていたら、そりゃ殴られますよね。


 これらは全部介護職員、施設の都合による介助です。

「トイレや食事の時間だから、その時間内で終わらせないと」

「食事は全量摂取が正義!」

「オムツ交換で一人一人に同意を得てからやってたら終わらない」

「今日お風呂に入れないと明日入れないと行けなくて明日大変」

等々。


 そのような介助をする理由はこんな感じですよね。

 これって介護職員都合であって、ご利用者のためじゃないですよね。


 このような理由で先程のような介助をすることを介護とは言いません。

 それは作業と言います。


 つまり、介護職員がご利用者と言う

《人》

に対して、

《物》

として扱っているから、ご利用者は殴ると言う選択を取るしかなくなっているんですね。



<言葉が通じない>

 伝えたいことが介護職員に全然伝わらない時にもご利用者は手を出す事があります。

 この現象は貴方にもあるはずです。


 貴方が部下でも、友人でも、誰に対してでも構いませんが、大事なことを真剣に話をしていても全然伝わらない、聞いてもらえない。


 イライラしますよね?

 ましてや本当に自分にとって重要なことなら尚更。


 ご利用者も同じです。


 大切なことを伝えようとしていても、言葉が浮かんで来ずに伝えられない。


 又は伝えようとしているのに

「なに?早く言って。こっちは忙しいんだから」

「順番だから待ってて。先に待っている人がいるんだからわがまましないで」

のように職員に言われて聞いてもらえない。


 イライラしますよね。


 このイライラについては介護職員のイライラを解消する方法として更に詳しくこちらの記事に書いていますが、ご利用者にとっても同じ事が言えます。



<「待ってて」の濫用>

 暴力を多く振るわれる施設の職員さんは大抵の場合、ご利用者に対して

「待ってて下さい」

この言葉を濫用しています。


 これも自分自身に当てはめれば理解出来ますよね。

 何かを待つと言う行為はとても大きなストレスになります。


「待ってて」

を濫用する職員に限って、自分自身はプライベートで人を5分も待てないような人もいます。


 自分自身でも待つと言うことが全然出来ないくらいにストレスなら、ご利用者にとってもストレスだと理解できるはずなんですけどね。


 作業として仕事をしていると理解出来ないんですよね。


 この

「待ってて」

の濫用として一番多いイメージはトイレです。


 暴力を頻繁に受ける施設の職員さんは、ご利用者からの

「漏れちゃう」

この言葉をどう受け止めていますか?


 そのように訴えかけてくるご利用者に対して、恐らく

「オムツ・パットをしているから大丈夫ですよ」

「大丈夫にしているので、そのままして大丈夫ですよ」

「先に並んでいる人が優先です」

のような言葉を結構言っていませんか?


 だから暴力を振るわれるんです。


「漏れちゃう」

と言う言葉を軽い訴えと受け止め過ぎです。


 この言葉は全然軽い訴えではありません。


「自分の人としての尊厳、存在意義を失う」

 こう訴えかけている言葉です。


 この訴えに先ほどのような声掛けをする職員は、

「ズボンが濡れなければ問題なし。」

と自分の都合で物事を見ています。


 だからその訴えが

「人の尊厳や存在意義を失う」

と言う本質的な部分まで見えておらず、ご利用者に暴力を振るわせているわけです。


 なお、

「待ってて」

のストレスを大きく軽減する方法はこちらの記事で紹介していますので参照下さい。



<トラウマ>

 ご利用者が暴力を振るう理由として、過去のトラウマ。

 いわゆるPTSDが理由の場合もあります。


 実際に同室者の、別のご利用者に用事があって訪室しただけで、テレビリモコンや花瓶を本気で投げてくるご利用者がいました。


 そのご利用者には頻繁にテレビリモコンで頭を殴られたり、メガネを何本も折られたりしましたねぇ。

 懐かしい。


 それはともかく、そのご利用者は過去に男性から酷いことをされた経験があったので、男性が目に入るだけでフラッシュバックして発狂状態になってしまうんですね。


 そのような理由から暴力を振るわれることもあります。


 しかし、介護福祉士はご利用者の心身に対しての支援をしなければならない義務。

 又はそのような支援を出来るように資質向上をする義務を負っています。

 これは法律で決められています。


 このご利用者は最終的には、私にオムツ交換をさせてくれるようになりました。

 視界に入るだけで花瓶を投げてくる等、こちらが大怪我してしまうくらいの暴力行為をしてくるご利用者がです。


 過去に男性に酷いことをされ、それを連想させるようなオムツ交換ですよ。

 トラウマの改善は無理じゃないんです。


 ちなみに、私は福祉への興味のキッカケは心理なので、ここでの

《トラウマ

と言うのは俗語として一般的に使われているトラウマではなく、心理上の本当の意味でのトラウマのことを指しています。


 それが出来ないのは貴方が最初から諦めたり、関わることを逃げているからです。

 だから貴方の介護は作業なんです。

 そして作業だから暴力を振るわれるんです。



 他にも考え得る理由は沢山ありますが、私が認識している限りで多いと感じる原因を簡単にあげてみました。




ご利用者からの暴力行為を失くす方法

 今から書くのは失くす根本的な方法の提案であって、場当たり的な対策方法ではありませんので、

距離を置く、他の職員にお願いする

等は書いていません。


「これじゃすぐには無理じゃん!」

と思われる前に最初に言っておきます!


 場当たり的な対策方法は、ネットで

《介護 暴力 対策》

で検索すれば幾らでも出てきます。



<業務の見直し>

 いくら

「介護職員はこうすれば暴力が激減しますよ!」

と言っても、そもそも業務上どうしても出来ない状態では不可能です。


 そのためにはまず、多少は余裕を持った業務を行えるようにする必要があります。

 不要な業務は出来るだけ削減するとか、空いた時間にやるようにするとか、業務の流れから必要性までを見直す必要がある場合もあります。


 ナースコールに連動されているPHSの導入とか、排泄、食事時間などは余裕を持った時間設定にするとか、清拭たたみは夜間にするとか、ご利用者のリハビリとして手伝ってもらう等々。


 具体的な部分は施設ごとによって違うので、私から

「これを削除しろ!」

とは言えませんが、トヨタ方式と呼ばれる、徹底した無駄な動きの排除を介護施設に導入し、月1468時間も業務時間を短縮した福祉法人も存在します。


 神奈川県横浜市にある

 社会福祉法人若竹大寿会

です。



<職員の意識を変える>

 いくらハード面や業務面が改善されても、職員が

「よしやろう!」

と思わなければ改善できません。


 通常はハード面を大きく変えることは出来ませんので、一番重要なのは職員の意識を変えることです。


 個人的にまず最初に取り組んで欲しいこととしては、

『定時以外はトイレ禁止』

みたいな暗黙的な感覚は全職員が捨てて下さい。


 トイレの訴えがあれば全てその都度介助をして下さい。


 当然こうすると、フロアに残る職員だけでは対応不可能な場合があります。

 そんな時にお風呂誘導介助の職員が自然とトイレ介助に来るくらいの意識が必要です。


「トイレはいつでも行って良いんだ」

とご利用者が思える環境になると、従来特養だとほぼ一日中休みなくトイレは稼働しっぱなしになります。


 でも、風呂介助担当だろうと、何だろうと関係なく、気付いた職員が自然と介助に入るような姿勢になっていると、ご利用者をほぼ待たせず、問題なくこなせます。


 30分に5回とか来るご利用者もいます。

 それでも受け入れます。


 それが当たり前になると職員は

「もう来るな!」

ではなく

「どうして何回も来るんだろう?」

と原因を考え始めます。


 看護師に相談することもします。

 すると、膀胱の病気が発見され、治療が開始されるようなことも自然と発生します。


 ご利用者にとっても良いことですし、その方が職員も楽になりますよね。

 暴力も減少し得るわけですし。



<ご利用者を理解する姿勢>

 本質的にはこれが一番重要だと思います。

 ほとんどの場合は、介護職員のご利用者を理解する姿勢が欠けているから暴力を振るわれているわけですからね。


 一つ問題を出題します。

 この高齢者の心を汲み取って下さい。


 祖母、父、母、息子の4人家族の話です。
 祖母は認知症を患っていますが、体は元気な状態です。
 家族が家を留守にして、祖母だけで留守番をしているといつも何かしらやらかしてしまっています。
 そんなある日、その日も家族は全員仕事でおらず、祖母だけで留守番をしていました。
 そこに母が帰宅。
 すると母がとても大切に育てていた花壇のチューリップ。
 このチューリップの花の部分だけを祖母が全部切り取って、家の中に置いていました。
 つまり、茎だけ植わっている、いわゆる全滅状態になっていました。
 祖母は笑顔で
「おかえり」
と自分で切り取ったチューリップの花の部分だけを母に渡してきました。

 ↑こんな状態ですね


 私の施設ではこの祖母の行動理由はほとんどの職員さんが理解しました。


 だから当然

「ありがとう」

とチューリップの花の部分だけを受け取ります。


 貴方はどうですか?

「何やってんだよ!」

と思ってしまいますか?


 考える上でのヒントは

◎、何故チューリップを引き抜いたのではなく、花の部分だけを切り取ったのか?

◎、何故悪びれる様子もなく、笑顔で渡して来たのか?


 これらを考えれば何となく分かると思います。


 それでも分からないなら、貴方の施設はご利用者に暴力を振るわれるべくして振るわれているんだと思います。


 いえ、少し違いますね。

 ご利用者は暴力を振るいたくないのですから、職員の未熟さのせいで、ご利用者に暴力を振るう以外の選択肢を与えられていないんですね。


 実際に祖母本人じゃないと本当のところは分かりません。

 そのため『正解』と言うのは違和感がありますが、一応正解として祖母の行動理由を言います。


 祖母は家族のためにトマト等の野菜を収穫しているつもりなんです。

 チューリップの花の部分が野菜に見えていたわけですね。


 だから

「採っておいたから夕飯にでも使って」

と笑顔で渡してきたわけですね。


 この説明を書いている今でもウルッときちゃいますね。


「ありがとう」

と受け取る以外あり得ないですよね。


 暴力を頻繁に受ける施設の介護職員はそれを理解せず、

「何やってんの!大切な花を台無しにして!ふざけんな!」

と怒鳴っているわけです。


 又はこのような心情を理解しても

「は?これのどこがウルッと来るの?イラっとするだけなんだけど」

と受け止めるわけですね。


 そのような態度が何千、何万回も日常的に積み重なって、相手は爆発してしまうわけです。



最後に

 根本的に高齢者世代は我慢の世代です。

 貴方よりも我慢強いですし、人思いです。


 暴力を振るわれる施設の介護職員さんはこんな経験は一度や二度ではないはずです!


 転倒やベッドからの転落事故の際に

「何で動いたの?」

と聞いたところ、ご利用者から

「だって職員さん達、とても忙しそうだったから」

と返ってきた経験。


「貴方の力になりたい。手伝いたい」

と思ったから動いただけなんです。


 そこで、

「ありがとう」

じゃなくて

「ありがた迷惑だから!本当にやめて!」

と思っていませんか?


 このように見ていくと、ご利用者の心情を理解出来ても受け取れない貴方の心の未熟さも原因の一つですね。


 これらのことから、だから暴力を受けている施設の介護職員が介護職員としても、人間としても未熟だからご利用者に暴力を振るわせているわけですね。


 そして、それをご利用者のせいにして

「何で介護職員は一方的に殴られても文句の一つも言っちゃいけないの?」

としているから、余計に改善しないわけです。


「殴られたとしても文句を言っちゃダメ」

と言う部分だけ見て自分の権利を主張していますが、その前に貴方はご利用者に対して何千、何万回もの人権侵害や傷付ける酷い言葉・行動をしています。


 まずはその行動一つ一つに自分で気付く事からだと思います。


 ハッキリと言いますが、介護と言う仕事は他の職業と比べてもかなり高度な仕事です。

 能力的にもかなり高い能力を要します。


 それを

「誰にでも出来る仕事」

「他に就職できなかった人間の集まり」

「底辺の仕事」

なんて言っている介護職員は作業として介護をしているだけです。


 それは介護ではなく作業です。

 作業ならそりゃあ、手順さえ覚えれば誰にでもできますよね。


 そんな誰にでも出来る仕事に高い評価なんて来ませんよね。


 そして

「作業としてやる」

と言う怠けた態度で、他者が悪いと無条件で責任転嫁しているんですから改善するハズがないですよね。


 だから貴方は暴力を振るわれるんです。

 作業としての自称の頑張り程度では、介護という高い能力を要する仕事では通用していないだけです。


 介護職員がそのようになってしまっている原因は自己肯定感が低いからだと思います。

 自分で自分ことや、自分のやっている行動や仕事を肯定出来ていないからですね。


 自己肯定感が強い人は自分の仕事を

「底辺の仕事」

なんて言いません。


 職場の介護職員の自己肯定感を高める方法はこちらの記事です。


 貴方の施設でご利用者からの暴力が多いのは、ご利用者の性格のせいだけではなく、介護職員達の未熟さも大きな原因の一つです。

 以上。



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