オムツ・パットの特徴を知り、適切な使い方をする方法。
介護での一回の尿量
介護用のオムツやパットでは
「○回分のおしっこを吸収します」
のように商品には書かれています。
しかし、一回で尿が出る量なんて人によって違いますよね?
このように介護のオムツ等で言われている尿の量ですが、これは概ね
【1回=150cc】
で計算されています。
そのため、尿量が多い人で1回で300ccとか出る方なら2回分の商品を使った方が良いと言うことです。
何回分と言う部分で見るよりも
【1回分=150cc】
と考えて計算してみて下さい。
その人に合った物を使う
オムツやパットの特徴を見ながら、どんな状態の人に向いているモノなのかを簡単に見ていきます。
自分でトイレで排泄出来る人にガッチガチのオムツは当てませんよね?
一人でも問題なく排泄できるのに、それの邪魔をしてしまいますからね。
このように、どんな人に、どの介護用のパットやオムツ等が向いているのかを、介護現場基準でお話します。
介護現場でもオムツとパットの特徴を知らない介護職員が結構多いので、初心に戻って確認してみて下さい。
介護福祉士や社会福祉士、ケアマネの試験でオムツやパットの特徴は学びませんからね。
そして、この部分は特に自宅で介護をされているご家族に参考にして欲しいです。
ショートで来苑されるご利用者を見ていると、
「大は小を兼ねる」
と勘違いされているご家族がとても多いと感じます。
オムツやパット類はそうではありません。
大は小を兼ねません。
適材適所で、合った物を使わないと衣類を濡らしたり、汚れたパットを外す行為を招きます。
布パンツ
布パンツは、要は尿を吸収する物は使いません。
普通に私達と同じ状態と言うことです。
衣類を濡らしてしまうことなく、トイレで排泄できるご利用者は布パンツです。
介護度が高くないと入所できない特別養護老人ホームでも、布パンツのご利用者は居ます。
理想は全員布パンツで、トイレ排泄です。
実際に特養で96%以上のご利用者がオムツなしで、トイレ排泄出来ている施設も存在しています。
存在していると言う事と、その方法を知っているだけで、正直私も実践出来ていない未熟者ですが。
日本でオムツを使わない介護に関する第一人者は
と言う方です。
リハビリパンツ(吸水型パンツ)
◎、時々尿でパンツが濡れてしまう
◎、布パンツだと着替えない
等の状態のご利用者にはリハビリパンツ、つまりパンツ自体が吸水してくれるパンツを使います。
パンツ型オムツと言う人もいますが、個人的にはこれはパンツ型オムツと言うよりも、吸水するパンツだと思います。

破こうとすれば簡単に破けて、履き替え・着替えが簡単です。
職員がトイレまで誘導すればトイレに座って排泄出来る方はリハビリパンツが基本になります。
リハビリパンツはパンツとして使うため、この場合に布パンツは履きません。
紹介した商品は概ね5回分(=750cc)吸水するようです。
尿取りパット
本当はパッドなのですが、何故かパットと呼ぶのが一般的です。
私もその癖が付いているのでパットと言っています。
パットは布パンツやリハビリパンツの中に入れて使うのが一般的です。
パット単体では固定できませんので。
布パンツやリハビリパンツは濡れてしまうと着替えないといけません。
その大変さを軽減するのがパットです。
濡れたパットを抜いて、新しいパットを当てるだけで簡単ですからね。
そのため、ハッキリと言います。
パットは基本的に介助者のための商品です。
介護される人のための商品とは言えないかと思います。
その説明は後でします。
尿取りパットは水分の吸収速度が少しゆっくり目に作られています。
即吸水だと、パット全体に尿が広がらず、失禁リスクが高まってしまうためだそうです。
なお、私が紹介するパットの特徴は
です。
メーカーによって特徴が違うこともあるので、ご了承下さい。
アテントのパットは、スリット部分だけ即吸水性となっており、その他がゆっくり吸水となっていますので、スリット部分を尿導口に当てることを意識します。
このように、メーカーによって違うんです!
<貼りつく小さいパット>

商品名にも書かれている通り、下着に貼り付けて使えるパットです。
一番小さいタイプです。
2回分(=300cc)吸水するようです。
「最近リハパンが少し濡れていることがあるんだよねぇ」
とか
「濡れてはいないけど、一人でお尻を綺麗に拭けてなくて、汚れていることがあるんだよね。」
くらいの方に適しています。
<日常使い用パット>

これは先程紹介したパットよりは大きいので、布パンツには適していません。
リハビリパンツの中に入れる専用です。
リハビリパンツは尿が外に漏れないように撥水するギャザーが付いているので、ギャザーの中にパットが収まる構造になっています。
布パンツはそのような構造になっていないので、大きいパットははみ出してしまい、はみ出した部分を尿が伝って衣服を濡らしてしまいます。
このパットは尿の吸収回数は4回(=600cc)となっています。
日常的に行動する時間帯で使うパットとしてはここまでが好ましいと思います。
<夜用パット>

いわゆる夜用パットと呼ばれる大きいパットです。
6回分(=900cc)吸収します。
このサイズになるとパンツの中でパットが擦れてしまい、ゴワゴワ感も強いので、日常行動する時間帯の使用には向いていません。
ご利用者によっては嫌がって外してしまいます。
基本的にパットと言うモノは違和感の元です。
そしてその目的は
【介助する者にとって交換が簡単】
です。
だからパットはそもそもご利用者のためではなく、介助者のための商品なんですね。
商品紹介部分に
「朝まで安心」
とされていますが、正直このサイズでは朝までは厳しいです。
もちろん、ご利用者ごとの個人差はありますが、このサイズでは尿量の多い方は3~4時間くらいでパンパンになります。
<大容量パット>

「一般的な夜用パットではすぐ衣類を濡らしてしまう」
とか、
「夜間はオムツ交換の回数を減らして、睡眠時間を確保したい」
と言う場合にはこの大容量パットです。
吸水回数は10回(=1500cc)です。
基本的にこれを日中に使うことはあり得ません。
障害のない貴方が使ってもガニ股歩きになるくらいの大きさです。
とても動き難い大きさです。
動き難いだけではなく、擦れ過ぎて、内腿が炎症を起こしたり、皮剥けすることもあり得ます。
夜間はキチンとパットが当てられていれば、ほぼほぼ朝まで衣類が濡れることはありません。
ただし、それでも、本当に尿量は個人差が大きくて、これでも5時間くらいしか持たないご利用者もいます。
消灯時間は施設によって違うと思いますが、概ね20~22時くらいとして、1時~3時くらいまでしか持たないと言うことですね。
まぁ、それでも、5時間くらいですので、ある程度の睡眠時間の確保は出来ていますよね。
それ以上パット交換をしないとなると、尿が肌に触れ続けて、炎症を起こす原因になり、別の問題が生じます。
もしこれ以上の大きなパットがあったとしても、それ以上交換しないと言うのは好ましくないと思います。
皮剥けしたらパット交換なんかよりも遥かに大変になりますからね。
ご利用者だけではなく、自分自身の介助を大変にしないためにも、これ以上放置するのは止めた方が良いと思います。
<その他パット類>
これらは基本的に応用編で使うパット類です。
基本が出来ている上で上手く活用するパット類なので、基本をキチンと固めてから使うようにして下さい。
そのため、ここでは具体的な使用例等は紹介しません。
オムツやパットの工夫した当て方を知りたい介護職員は一定数居ると思いますので、これらの特殊な用品の使い方等は別記事で紹介するかもしれません。
【フラットパット】

【両面吸収パット】

これは、存在自体を知らない介護職員がとても多いですね。
防水面がないパットなので、尿を吸収しても貫通します。
これはとても有意義でかなり意味のある、良い商品なのですが、
「どうなって、何のために使うの?」
と言う介護職員が多い印象です。
だから応用編なんです!
オムツ

説明は不要かと思いますが、誰もがイメージする、いわゆるオムツです。
「寝たきりで、トイレに座ること自体が難しいかなぁ」
「夜はトイレに連れて行くのは厳しいかな」
と言うご利用者向けです。
尿の吸収回数5回分(=750cc)と載っていますが、あまり尿吸収に向いていません。
オムツは即吸水性なので、その部分でしか尿を吸いません。
では何に向いているのか?
それは水様便です。
水状の便に向いています。
便は固形物なので、体に押し出されて漏れます。
パットのゆっくり吸水では、水様便の水分を吸収し切る前に押し出されて漏れてしまうと言うことですね。
その点オムツは即吸水なので、出た時点で水分だけ取ってしまい、便が体で押し出され難くするんですね。
水様便なので、水分さえ取ってしまえば、便の量自体は大したことない場合がほとんどですからね。
この点、アテントのパットはスリット部分が即吸水性になっているので、尿より水様便が心配な場合は、パットを逆向きにし、スリット部分を肛門付近に当てて使うと水様便対策になり得ます。
これはアテントのパット限定の応用した使い方ですけどね。
オムツカバー

これは基本的に使うべきモノではありません。
オムツの上に装着するオムツカバーです。
水分を弾く素材になっています。
施設では基本的に、便が大量でいつも全身便まみれになってしまうご利用者等がいる場合に使うことがあります。
パット+オムツだけでは止め切れない場合に、更に便を堰止める目的で使うと言うことですね。
水分を弾くので、中は蒸れ、肌には最悪な状態になるので、普通は使いません。
キチンとした施設であればよっぽどのことがない限り、使いません。
ただ、そのような物があると言うことでのご紹介です。
最後に
最初に言った
「大は小を兼ねない」
と言う話は、
「リハパンにしようかな?」
「オムツにしようかな?」
と言う部分だけの話ではありません。
リハビリパンツやオムツのサイズにも言えることです。
今回はサイズについては言いませんでしたが、サイズがズレテいると床ずれの原因になります。
衣類を濡らす原因にもなります。
大は小を兼ねるとの勘違いは介護職員の中にも多く存在しています。
「MサイズのオムツよりLサイズのオムツの方が衣類を濡らすことは少ないでしょう」
と。
それは大きな誤りです。
サイズが合っていないから衣類を濡らすんです。
この辺りも
「どうして尿量が多くない人でも衣類が濡れるのか?」
その原因を説明する記事で紹介する予定です。
適切な排泄ケア用品を、適切に使用すると、ご利用者本人だけではなく、介助者の貴方の楽のためにもなるので、是非参考にしてみて下さい。
「ところで、この記事を書いている貴方はどなた?」
と疑問に思った貴方は私の自己紹介もご覧ください。
私は介護に関してこのように
◎、曖昧なまま使われている部分
◎、時代の変化についていけるような情報
◎、介護に対するやる気の向上
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