介護職員のための、事故報告書の適切な書き方とその目的。《事故報告書は反省文・始末書ではない!》

2019年11月11日

「事故報告書は始末書ではありません!」

それ違う!

<反省する書類にすると意味がない>

 最も言いたいことはこれです。

「事故報告書は反省文、始末書ではありません。」


 しかし、始末書とか反省文として書いている職員があまりに多すぎます。


 事故報告書が始末書になっていた場合、本来の目的を果たせなくなってしまいます。


 反省文や始末書として書かれている事故報告書は、全部

《本来の意味をなさない無意味なモノ》

ですので、破棄して書き直しです!



<職員が悪者になってはいけない>

 事故報告書を始末書にしてしまうと、発見者が悪者扱いになります。


 すると、職員は事故を見て見ぬふりするようになります。 

 これは職員のミスによる事故でも始末書にしてはいけません。


 絶対に始末書にしてはいけません。

 そのため反省の弁は絶対に入りません。

「すみませんでした」

「こうすべきでした」

のような言葉は絶対に入りません。


 もしも、そのような言葉が入る事故報告書があったら、責任者は書き直しをさせるべきです。


 その発見者は事故報告書を理解していませんから、受け取った責任者はキチンと教えてあげましょう。

  もっとも、その責任者が始末書扱いしていたら話になりませんが。


 そこで今回は、本来の事故報告書の目的と、意味のある事故報告書になるような必要事項等について説明をして行きます。




介護現場での事故報告書

<介護現場での事故報告書とは?>

 事故報告書とは、ご利用者が怪我をしてしまう恐れがある出来事~怪我をしてしまった等の場合に作成する書類です。


 交通事故を起こし、その報告を職場にする書類も事故報告書と呼びますが、介護現場で

【事故報告書】

と言う場合には、ご利用者が転倒してしまった等の事実を記載する書類を指します。



<事故報告書を書く意味>

 事故報告書の目的、書く意味は

《事故の再発防止のため》

です。


 同じ介護事故を起こさないようにするために、状況を報告書にして対策を検討するために使用する書類ですね。


 更に、職員のミスによる介護事故の場合には職員の身を守るための書類にもなり得ると言われています。

 この部分に関しては、昔から口伝えに言われているだけなので、警察経験のある私が実際の犯罪捜査上、どのように活用され得るかを考えてみました。


「事故報告書でどのように身を守れ得るのか?」

に興味がある貴方はこちらの記事も併せてお読みください。




事故報告書は誰が書く?

<詳細を知っている人が書く>

 介護現場での事故報告書で

「何を、どのように書いたら良いのか?」

を見て行く前に、必ず問題になる


誰が書くのか?問題

 これについて説明します。


 もちろん、施設によって違って良いと思いますが、私としては、

①、介護事故を起こした人

②、発見者

が書くべきだと思います。


 何故そのように考えるのかと言うと、事故報告書を書く目的にあります。

 先程も言いました。

 事故報告書を書く目的は、

再発防止のため

です。


 再発防止のためには、少しでも詳細が分かる方が適切な検討が行えます。

 そして、介護事故の状況を少しでも詳しく分かる人は、事故を起こした本人か発見者です。


 だから、事故を起こした人、発見者の順で書く必要があると思います。

 ここで忘れてはいけないことは、反省文ではないと言うことです。



<発生不詳の内出血>

 事故を起こした職員が書く目的はあくまでも、状況の詳細が分かるからです。

 事故を起こした反省をさせるためではないと言うことは明確にさせておきましょう。


 その上で、入浴介助時に偶然見つけた内出血等。

 この場合は誰が書いても情報量に差は出ません。


 この場合には介護事故を起こした人が特定できませんし、ご利用者本人が自分で作った可能性も有りますので、

《発見者》

が作成しましょう。


 施設によっては犯人探しが始まるのですが、そんな無駄なことは今すぐ止めましょう。

 何度も何度も言いますが、事故報告書を作成する意味・目的はあくまでも再発防止であって、反省させる目的ではありません。


 犯人探しなんかしても、再発防止に必要な情報量は増えません。

 つまり、再発防止目的の事故報告書業務において犯人探しは無意味な行為です。


 そんな無意味なことをするために職員が業務から抜ける余裕がある施設なのでしょうかね?

 そして、いつから介護職員に捜査権が付与されたのでしょうね?


 更に、高齢者の内出血は数時間~後日出てくる事もあるため、内出血の原因を作ってしまった職員自身も本当に意識していない、気付いていない可能性もあります。


 そのため、原因不明の内出血に関しては、発見者が書くのが一番適している状況だと思います。


<事故報告書を書かない看護師問題>

 特に発生不詳の内出血の時に多く起こり得る問題なのですが

「発見しても看護師は書かないんですよね。」

と言う施設に関しては、流石に施設の看護師と介護士の関係性の問題なので私からは何とも言えません。


 むしろ介護業界が看護業界の使っていたヒヤリハットを取り入れた形ですので、本来の意味をキチンと理解している看護師なら発見者として自身が率先して書きますけどね。


 それをしないで

「内出血があるよ。事故報告書書いて」

と言ってくる看護師は看護師としての資質を疑います。


 資質部分が余りに酷かったり、ご利用者の事を何も考えていない看護師がいたらその状況や詳細をメモしておき、保健所に通報して下さい。


 看護師の免許剥奪申請をしましょう。

 介護士を見下して横柄な態度を取っており、それが結果的にご利用者への大きな不具合になっている場合があります。

 その場合にはご利用者のために法的措置で対抗するだけです。


 口での言い合いをしても施設に擁護されるのはどうせ看護師ですので、その看護師資格そのモノの疑義を問いましょう。




介護事故発見職員

 誰が発見したのかをキチンと書きます。

 発見した人にしか状況がわかりませんので、

《発見者=事故報告書作成者》

となるのが普通です。


 状況が分かる人が書かないと再発防止のために必要な情報が書けませんからね。


 なおここでの

《発見者》

には事故を起こした人も含めています。


 事故を起こしてしまい、その場で発見と言う意味合いですね。


 何度も言いますが、事故を起こした事を反省させる意図は含ませないで下さい。


 職員名はフルネームで記載しましょう。

 なお、職員の経験年数は施設によって判断して下さい。


 経験年数の違いによって再発防止案が大きく変化するなら記載して下さい。

 特に検討案に大きな影響が出ないなら不要です。

 事故報告書における経験年数記載の有無についてはこちらをお読みください。




介護事故の発生時間

 これは、見ていたならその時間。

 介護事故の時点は見ていないなら、発見時間にするのが一般的です。

 ご利用者によっては、決まった時間帯だけ活発に行動を開始する人もいますから、活動把握のためにも時間は重要です。




介護事故の発生場所

 発生場所としましたが、発見場所も含みます。


 居室のベッドからの転落なら、

「どの居室の、どのベッドか?」

も記載すべきです。

 重度の認知症罹患者なら、必ずしも自分自身のベッドとは限りませんからね。


 例えば、男性ご利用者が、女性のご利用者を自分の奥さんだと勘違いし一緒のベッドに寝ようとして、女性が男性を突き飛ばし転倒。


 この場合は、居室も、ベッドも本人のところじゃないですよね?

 本人のベッドからの転落と、このようなケースでの転倒・転落とでは対策も違ってきます。

 そのため、場所もとても重要です。




介護事故のご利用者名

<ご利用者は一人一人違う>

 ご利用者一人一人身体状況は違います。

 精神状態も違います。

 誰がそのような介護事故に遭ったのか?はとても重要です。


 ベッドからの転落だけでも、一人一人に合った事故防止対策が必要なんですよね。

 そのためにも、誰の事故かをハッキリさせておくことが重要です。



<イニシャルにするか、フルネームにするか>

 報告書にご利用者のことを記載する際、悩みどころの一つとして

「イニシャル記載にするか、フルネーム記載にするか?」

と言う問題があります。


 個人的にはフルネームで書くべきだと思います。

 しかし、正直それは施設でキチンと決めて、それに従って書いて下さい。


 再発防止対策をキチンと行うためにはフルネーム記載が必要です。


 確かに施設職員ならイニシャルだけでも誰だか分かります。


 しかし、イニシャルだけでは現場を良く知っている職員以外には分かりません。


 誰だか分からない表記で適切な事故防止対策を検討しろと?

 それでは現場の都合に偏った対策しか検討出来ません。

 それでは事故報告書を作成する意味があまりありません。


「その検討が本当に適切かどうか?」

をより幅広く検討するためにはフルネームで記載した方が良いです。


 しかし、公開情報の対象として危惧するならイニシャル表記でも良いと思います。


 もっとも、情報公開申請で公開する時には個人名部分は黒塗りに出来るので、イニシャル表記にするメリットはほぼないと個人的には思いますけどね。


 個人情報保護法をキチンと勉強して、より効果的な事故報告書の運用が出来ると良いですね。




介護事故の状況

 何があったのか分からなければ検討のしようがありませんので、一番重要な部分ですね。

 しかし、ここがの書き方が一番難しいんだと思います。

 そこで、どのような内容を、どのように書けば良いのか?順を追っていきたいと思います。



<転倒事故の書き方>

 見守る担当の職員が食堂の片付けでテーブルを拭いていると、ドンと音がして振り返るとご利用者が転倒していた。

 こんな状況は良くありますよね。

 こんな状況を書く場合、どんなことを、どのような書き方にすれば良いのかを見て行きましょう。



<事故前の状況>

 もしわかるのであれば事故前の状況を書きましょう。

 転倒したご利用者の体動は活発だったのか?

 それとも、落ち着いていたのか?

 眠そうにしていたのか?

等々ですね。


 活発だったのなら、対策として放置しちゃダメと言う方向性で検討できます。

 眠そうにしていたなら、眠くて脱力し、ずり落ちた可能性もあるので、また検討内容が変わってきますよね。



<発見時の状況>

 右側を下にしているのか?

 左側を下にしているのか?

等は基本です。


 それによって倒れ方や殴打した場所等の推測ができます。


 他にも

◎ 椅子は倒れているのかどうか。

◎ 椅子の座布団は落ちているかどうか?

◎ 車いす使用者なら、車いすの位置は?

◎ 車いすのブレーキは掛かっていた?

◎ 車いすのフットサポート(フットレスト)は上がっていた?下がっていた?

◎ ご利用者がゴミ等、何か持っていないかどうか?

等々。


 見たままの状況を書きます。

 この部分には推測を入れない方が良いです。

 客観的事実だけを記載するわけです。


 警察の実況見分みたいですね。



<ご利用者の文言>

「どうしたのですか?」

等質問をしましょう。


 キチンと受け答えが出来るご利用者なら、転倒理由が聞き出せます。

 キチンと受け答えが出来ない方でも、何かヒントは得られるかもしれません。


 これも客観的事実として、何と発語があったのかそのまま記載した方が良いです。

  ご利用者本人からの発言では何も判明しないとしても、文言をそのまま記載しましょう。


 その場合は

《何故倒れたのか質問するも「あぁ~。お~」とのみの発語であり、状況詳細は判明せず

のように書いておけば良いだけです。


 あくまでも客観的事実が重要です。



<赤み・外傷>

 転倒状況からある程度どの部分を殴打したのか推測は出来ます。


 出血の有無、たんこぶの有無、内出血の有無、赤みの有無、痛みの訴えの有無等を確認します。


 高齢者だと数時間経ってから内出血が出てくることもありますが、その時点での状況を確認して記載しましょう。


 これもその時点での客観的事実の記載です。



<バイタル>

 体温、血圧、脈、酸素飽和度

 これらは基本です。


 体調不良が原因でふらつき転倒した可能性もありますし、転倒によって体の内部に何かが起きてしまっている可能性もあります。


 そのため、バイタルは重要です。


 通常転倒直後は血圧と脈は大きくなります。

 医務がいるなら医務指示を仰ぐのが普通です。


 医務がいないなら、30分後に再度測定しましょう。

 それでも血圧等が落ち着かないなら、何かあると疑うべきです。




介護事故が発生した原因

<客観的事実で記載する>

 何故その事故が発生したのか?

 これが分からないとキチンとした方向性の検討が出来ませんので、何故事故が発生したのかも重要な記載事項になります。


 先ほどの転倒を例にするなら

《一人で立ちあがり、バランスを崩して転倒》

《車イス上で眠気が強く、体がずり落ちて転落》

のような感じですね。


 ちなみにこの部分は、発見者も事故発生時は見ていないなら推測が入り得ます。


 上記事故を見ていないで、床に倒れている状況を発見したと言うことなら

《一人で立ちあがり、バランスを崩して転倒したと思われる》

《車イス上で眠気が強く、体がずり落ちて転落したと思われる》

となります。



<事故報告書は反省文ではない>

 何度も何度もしつこすぎて、

「うるさい!」

と怒り出したい人もいるかもしれませんが、この部分は特に反省文として記載する職員が多い部分です。


 多くの職員さんは、発生原因をこのように書くんですね。

《職員の見守り不足によって気付かずに転倒したと思われる》


 これでは反省文です。

 事故報告書ではありません。


 更に、このような書き方では

「対策方法は見守りの強化にしろ」

と記載者から指定されているようなものです。


 対策をどうするかは組織として検討すべき部分なので、記載者が勝手に指定しないようにしましょう!


 先ほどの転倒事故のように

「職員がこうすべきだったのに、こうしていなかったから発生した」

のような書き方はしないように心がけましょう。




再発防止の対策

 ここまでに書いてきたことを踏まえて、どうすれば同じような事故が防げるのかを書きます。


 もちろん、それを参考に対策委員会で決めるのですが、報告書段階で発見者の意見として対策案は入れておくべきです。


 今回の例題で言うなら、テーブルを拭くと言う業務よりも、転倒リスクの高いご利用者の見守り・付き添いを優先した方が良かったかもしれません。


 もしそのような状況だったのに、テーブル拭きを優先してしまっていた場合は、その職員はご利用者のADLが把握できていなかったのかもしれません。


 それなら対策は、見守りの強化よりも、ADLの把握を徹底する方が有意義かもしれません。


 もし職員が充実している時間帯の事故なら、他の職員との声掛け・連携も対策としては有りですよね。


 介護職員が一番書きがちな

【見守りの強化】

と言う抽象的な対策よりも、このように、具体的な行動を示せるとより良いですよね。




その他

 ご家族への連絡等、書式には細かい事項も加えるべきです。


 しかし、それは相談員等がやるべき部分であり、現場の介護士がすべき部分ではありません。


 それを現場職員にやらせてしまったら、負担があまりに大きくなり過ぎてしまい懲罰的意味を持ってしまいます。

 それでは始末書と同じように、職員は事故を見て見ぬふりをすると思います。


 それだけは避けなければなりません。

 事故だけでは済まず、事件になってしまい得ますよ。



最後に

 介護職員の中には文章を書く事が苦手だったり、その意味を教えられていないまま何となく書いている人も多くいます。


 そのため、新人介護職員に教えるべき先輩介護職員も詳しく知らない状況。

 何のためにそれを書き、そのためには何が必要なのか?

 そのくらいは知っておきたいものですよね。


 必要以上に怖がる必要はありませんが、介護の世界にいるなら是非知っておいて下さい。


 介護現場における意味のある適切な事故報告書について知れたところで、

「いざという時に自分自身の身を守るためにキチンと事故報告書を書きなさい!」

と言われるけど、

「犯罪捜査上、具体的にどのように活用されて、どのように身を守ることになるのか?」

はこちら。


 書き方ではなく、具体的に事例ごとの参考例を知りたい貴方はこちら。


 最後に。

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